2005 Fiscal Year Annual Research Report
ミリングによるNiTi基合金のナノ結晶化・非晶質化とガラス遷移域での固化成形性
Project/Area Number |
15760511
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Research Institution | Kitami Institute of Technology |
Principal Investigator |
石川 和宏 北見工業大学, 工学部, 助教授 (10312448)
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Keywords | アモルファス / メカニカルグラインディング / TiNi合金 / 水素透過 / 粉末冶金 / 固相反応 |
Research Abstract |
メカニカルグラインディングによりアモルファス化したTi_<41>Ni_<48>Zr_<11>合金の固化成型条件について検討した。実験の結果、Arガスが透過しない、完全に緻密な成型体を得るには、800℃以上の熱処理が必要なことが分かった。この温度は結晶化温度(約670K)より高いので、アモルファス状態での固化は困難である。Arガスを透過しないような緻密な結晶性成型体に対して水素透過試験を行ったところ、水素の透過が観察された。溶解・凝固法で作製した合金は、全く水素を透過しないので、ミリングによるアモルファス化→結晶化と固化成型のプロセスを経ることで、新たな機能が発現したと言える。この合金の水素透過度は、純Pdのそれより1桁小さく、水素透過合金としては不十分である。 次に、以上の知見を基に、高い水素透過度と良好な耐水素脆化性を有するNb-Ti-Ni合金に粉末冶金プロセスを適用した。なお、粉末冶金プロセスは、最終形状に近い形で製品が得られる効率的な方法である。Nb、Ti、Niの純金属粉末を真空中で圧粉し、高温で熱処理したところ、固相反応が進行して鋳造材と同様にTiNi相と(Nb,Ti)相が生成した。熱処理条件を適切に選定すれば、緻密な合金が得られることが明らかとなった。この成型体は水素中で破壊することなく、純Pdの2倍程度の水素透過度を示した。以上より、粉末冶金プロセスにより水素透過合金を作製することが明らかになり、今後、組成や熱処理条件の最適化により更なる特性改善が期待できる。
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