2004 Fiscal Year Annual Research Report
粒界ナノ量子構造制御による新機能セラミックス開発プロセスの創出
Project/Area Number |
15760518
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
吉田 英弘 独立行政法人物質・材料研究機構, 材料研究所, 主任研究員 (80313021)
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Keywords | セラミック / 結晶粒界 / 電子構造 / 第一原理計算 / 拡散 / 透過型電子顕微鏡 / プロセシング / 化学結合 |
Research Abstract |
本年度は、アルミナ多結晶体の焼結過程の最終段階における緻密化速度を測定し、焼結体の微細組織と併せて、速度論的にアルミナの粒界拡散係数を定量評価した。また、極微量のカチオン添加の影響を調べ、カチオンのイオン価数や原子半径に必ずしも関係なく、粒界拡散係数が変化することを明らかにした。粒界にはカチオンが偏析していると考えられるため、カチオンの存在が拡散に影響を及ぼしていると結論される。そこでアルミナの化学結合状態にカチオンがどう影響を及ぼすかを調べるため、第一原理分子軌道計算を行い、イオン性と物質輸送現象との相関を認めた。これはセラミックスの拡散に関しては初めての発見であり、2005年に欧文学術誌にこの成果が掲載される予定である。またセラミックスの電気伝導性の測定を行うため、高温炉と特殊な試料ホルダーを設計・製作し、これを研究機関に現有のインピーダンス測定装置に設置した。予備的に酸素イオン伝導体である立方晶ジルコニアにおける酸素イオン伝導性を調べ、力学特性と焼結性、及び酸素イオン伝導性に及ぼすカチオン添加効果を調べた。これに関しても、第一原理的な解析に使用する目的でデータの蓄積を行った。最終年度には、今年度までに得られた拡散、イオン伝導及び高温力学特性のデータを基に、粒界ナノ量子構造と力学・電気特性との関連要因を洗い出すと共に、各種特性の向上に適切な微量添加元素の選定を行う予定である。最終的には、各特性を決定する支配的因子を第一原理計算から明らかにすると共に、適切な添加元素や添加量を第一原理計算に基づき理論的に予測するための材料設計指針の確立を目指す。
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Research Products
(11 results)