2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15760525
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
矢吹 彰広 広島大学, 大学院・工学研究科, 助手 (70284164)
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Keywords | アルミニウム / 自己修復 / 塗膜 / 腐食 / ハイブリッド / 交流インピーダンス / 海水環境 / フッ素 |
Research Abstract |
海水環境におけるアルミニウムの耐食性向上のための各種防食塗膜の評価を行った。耐食性の評価には腐食ピットの発生と進展の2面から検討した。試験材料には,試験部9×9mmのアルミニウム合金(A3003)基板上に7種類の塗膜(ゾルゲルセラミック3種,三フッ化樹脂1種,シリコン樹脂1種,有機無機ハイブリッド2種)を厚さ約30μm施したものを用いた。試験を開始する前にカッターナイフとピンで基板に到達するように3種類の欠陥(ピンホール,深い傷,浅い傷)をつけ,健全部の腐食挙動から腐食ピットの発生について,欠陥部(ピンホール,深い傷,浅い傷)の腐食挙動から腐食ピットの拡大について評価した。液温70℃の3%食塩水をpH1.5に調整した試験液を試験片を浸漬し,120時間の腐食試験を行った。 試験の結果,ゾルゲルセラミック塗膜(ハイブリッドタイプ硬化剤添加)および三フッ化樹脂塗膜は健全部には全く腐食が生じず,欠陥部がわずかに拡大しただけであり,これらの中で特に優れた耐食性を示した。この2種類の塗膜について,欠陥部の深さの経時変化を調べたところ,三フッ化樹脂塗膜の欠陥部は浸漬時間初期では深くなったものの時間の経過とともに浸食速度はしだいに小さくなり,100時間以降では欠陥部はそれ以上深くならなかった。これら2種類の塗膜の欠陥部の状態を調べるために交流インピーダンス法を用いて,腐食抵抗の経時変化を測定したところ,三フッ化樹脂塗膜は浸漬後期において100時間以降では腐食抵抗比の上昇が見られた。この結果から,三フッ化樹脂塗膜では欠陥部全体に皮膜が形成し,自己修復性能が発現したと推測した。この自己修復性を確認するために,三フッ化樹脂からの塗膜成分の溶出およびその防食性を調べたところ,この三フッ化樹脂塗膜には皮膜を作る作用があることが確認された。さらに,この三フッ化樹脂塗膜に各種の金属粉末を添加したところ,三フッ化樹脂塗膜の自己修復性能の向上が見られた。
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