2003 Fiscal Year Annual Research Report
塩基性水溶液からのフォトアシスト高速電析CdTe薄膜を用いた太陽電池の高効率化
Project/Area Number |
15760548
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
邑瀬 邦明 京都大学, 工学研究科, 助手 (30283633)
|
Keywords | 化合物半導体 / 半導体電析 / カドミウム / テルル / 熱処理 / ドーピング / 太陽電池 / 薄膜 |
Research Abstract |
研究代表者は太陽電池材料として期待されているCdTe半導体の低コスト成膜技術として電析法を研究してきた。ここでは、Te(IV)イオン種の溶解度が低い硫酸酸性浴にかわる電析浴としてアンモニアを含有する塩基性浴を開発し、電析時にカソード表面に可視光を照射することで電析速度が向上する光アシスト電析によってCdTe層を成膜している。 これまでの研究から、as-depositedのCdTe薄膜の問題点として、比抵抗が10^8Ωcmと非常に高いことが挙がっている。そこで本年度は、電析浴中にCdTe化合物に対してp型ドーパントとなることが期待されるNa^+イオンを添加し、得られた電析CdTe薄膜の組成や電気的特性を評価した。その結果、塩基性浴からの電析CdTeに特徴的なp型の伝導特性を保ったまま、キャリア密度を従来よりも1桁向上させ、これによって、比抵抗を10^5〜10^6Ωcmと約3桁低下させることに成功した。電析CdTeの組成はNa^+イオンの添加によっては影響を受けず、ほぼ化学量論組成であった。 また、これと平行して、電析CdTe薄膜の熱処理による粒成長と比抵抗低減を試みた。その結果、熱処理温度の上昇および時間の増大とともにCdTe結晶粒が成長することがわかり、温度400℃では、as-depositedと比較して約6倍の粒成長がみられた。温度300℃で熱処理を施したCdTe薄膜の比抵抗は2×10^4Ωcmで、熱処理前に比べ約4桁低下させることに成功した。しかしながら、熱処理後のCdTe薄膜のホール測定からは、キャリアタイプを決定することはできなかった。これは、熱処理時にCdTeが基板材料であるAuと反応し、薄膜にピンホールを生じるためであることが明らかとなった。透明導電性基板上での熱処理時の挙動を今後調べる必要があると考えられる。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] M.Miyake: "Electrical Properties of CdTe Layers Electrodeposited from Ammoniacal Basic Electrolytes"Journal of the Electrochemical Society. 150(6). C413-C419 (2003)
-
[Publications] M.Miyake: "Effect of Anions on Electrodeposition of CdTe from Ammonia-alkaline Solutions"Surface and Coatings Technology. 169/170. 108-111 (2003)
-
[Publications] M.Miyake: "Comparison of Microstructures of CdTe Layers Electrodeposited from Basic Ammoniacal and Acidic Sulfate Electrolytes"Journal of the Electrochemical Society. 151(3). C168-C175 (2004)
-
[Publications] M.Miyake: "Hall Effect Measurements on CdTe Layers Electrodeposited from Acidic Aqueous Electrolyte"Journal of Electroanalytical Chemistry. 562. 247-253 (2004)
-
[Publications] 粟倉泰弘: "湿式法による太陽電池用CdTe薄膜材料の作製"表面技術. 54(12). 984-987 (2003)
-
[Publications] 三宅正男: "酸性および塩基性水溶液からの電析CdTe半導体薄膜の微細組織"まてりあ. 42(12). 907-907 (2003)