2004 Fiscal Year Annual Research Report
超短パルス紫外レーザ用ガラスファイバの開発のための基礎的研究
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15760551
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
村田 貴広 九州大学, 大学院・総合理工学研究院, 助手 (70304839)
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Keywords | マトリクス効果 / フッ化物ガラス / Ce(III) / 光酸化 |
Research Abstract |
本研究では超短パルス紫外光レーザ材料としてCe^<3+>ドープガラスの開発・実用化を目標とした基礎研究を行っている.前年度では系統的な基礎研究によって,Ce^<3+>のみを生成させることが可能な最適マトリクスガラスとしてフッ化物系ではBaF_2-CaF_2-AlF_3-YF_3ガラスであることを見出した. Ce^<3+>は紫外光励起によってCe^<4+>類似の電子構造を有するCeイオンに変化するため,Ce^<3+>のレーザ発振を阻害する.本年度では前年度で組成を最適化したBaF_2-CaF_2-AlF_3-YF_3マトリクスにCe^<3+>をドープしたガラスを調製し,Nd:YAG4倍波の266nm紫外レーザ照射によるCe^<3+>の光酸化を調査した.0.1mol%Ce^<3+>ドープBaF_2-CaF_2-AlF_3-YF_3に対してNd:YAGレーザの四倍高調波を,スポット径7mm,出力17mJ,ショット数1万の条件で照射した.照射後の試料では照射前に比べてCe^<3+>の紫外蛍光強度が半減した.この原因を調査するためにレーザ照射後の吸収スペクトルの測定を行なった.照射前の試料ではCe^<3+>の4f^1から5d^1への遷移に基づいて260nmにピークをもつブロードな波形を示した.一方,照射後の試料ではCe^<3+>の吸収帯に加えて,250nmよりも短波長側に新たな強い吸収帯が現れ,280nm以上の波長域においても吸収の増大が確認された.ソーラリゼーションによって生成する(Ce^<3+>)^+はCe^<3+>よりも短波長側に強い吸収を示し,放出された電子はマトリクスにトラップされ着色中心になることが報告されている.そのため照射後に250nmよりも短波長側に現れた吸収の原因は(Ce^<3+>)^+で,280nmから400nmに現れた吸収の原因はマトリクスにトラップされた電子であると推察される.従って,Ce^<3+>が光学不活性の(Ce^<3+>)^+に変化したことによる発光中心の減少と,Ce^<3+>の蛍光波長域である270nmから370nmに着色中心による吸収帯が現れたために,レーザ照射後の試料で蛍光強度が低下したと考えられる.
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Research Products
(2 results)