2003 Fiscal Year Annual Research Report
非水溶媒中における微粒子表面電荷の局在性と特異な巨視的表面間力の発現
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15760556
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
神田 陽一 京都大学, 工学研究科, 助手 (60243044)
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Keywords | 離散電荷 / ヘテロ相互作用 / 付着 |
Research Abstract |
近年、表面構造や特性をナノオーダーで制御することが求められており、材料表面上の微小な不純物や改質ムラが及ぼす影響を検討することは重要である。しかし表面特性が均一ではない離散的な状態にあるときの表面間相互作用については理論的に詳しく解明されておらず、また実験的な検討もほとんどされていない。 本年度は、まず水系で検討を行った。すなわち、モデル粒子として、粒径20〜100nmのカチオン性PSL粒子を負に帯電したマイカ板に吸着させ、離散電荷表面を実現した。これに対して、粒径3μmのシリカ粒子によるコロイドプローブとの相互作用をAFMを用いて種々の溶液中で検討した。 付着粒子が孤立して一個存在する場合には、1.DLVO理論による単純な足し合わせで表面間相互作用を説明可能であること、2.一個の粒子の影響が及ぶ垂直距離は、Debye長さに比例して増加すること、3.付着・凝集挙動に対する影響は、Debye長さと粒径の比に依存すること等を明らかにし、特に、粒径がDebye長さの2倍を超えると付着が促進されることが予想された。これらの実験結果は、数値積分により求められた相互作用の推算値とも整合した。 一方、一定の被覆率で粒子が付着している場合として被覆率が2%の場合には、1.平板間相互作用力の数値積分により全相互作用力を推定可能であること、2.一個だけが付着している場合として近似可能であること等を明らかにした。本研究で離散電荷表面のシリカ表面との相互作用力が被覆率2%までは既存の理論の組合せで十分説明できることが明らかとなったが、より大きな被覆率を持つ場合については、どの程度まで被覆率を大きくすればその離散電荷表面が平均化された表面として取り扱う事が可能であるのかは今後の課題である。
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