2004 Fiscal Year Annual Research Report
熱物質拡散場の光干渉測定によるガスハイドレート生成分解機構の研究
Project/Area Number |
15760563
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
長島 和茂 明治大学, 理工学部, 講師 (70339571)
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Keywords | クラスレートハイドレート / 一方向凝固法 / 堆積物 / 塩分排出 / THFハイドレート / 結晶成長 |
Research Abstract |
海底メタンハイドレート資源開発に資するため、堆積物中でのハイドレート生成実験を行った。堆積物モデルとして粒径が均一なガラスビーズを用い、これを化学量論組成のTHF水溶液と混合したものをサンプルとし、一方向凝固実験を行った。粒径が2ミクロンの場合(粘土層のモデル)、ハイドレートはガラスビーズを押しのけながら霜柱状に生成することが明らかとなった。また、霜柱はあるところで成長が止まり、再び溶液リッチな領域で霜柱を形成した。この繰り返しにより、堆積物中に等間隔の霜柱が配列した。霜柱の幅や間隔は、結晶の成長速度の増大とともに減少することが明らかとなった。幅と成長速度はべき法則に従い、この関係を地質学的スケールに外挿し、実際の海底メタンハイドレート層(数メートル)が形成するのに要する時間を見積もった。結果は数百年の時間スケールで生成したことを示した。さらに、正確な見積もりのためには、塩分の影響やゲスト分子の拡散律速性を実験モデルに組み込む必要があり、これにより、時間スケールは数千年オーダーになると予想される。 一方、結晶中に取り込まれた海水中の塩分が長時間のアニールにより脱塩される様子を調べるため、結晶内部にトラップされた高濃度塩水を長時間顕微鏡観察した。結果は結晶に与えらた温度勾配により、トラップされた塩水は高温側へと固体中を移動することを示した。これは塩水の高温側の融解、低温側の結晶界面の成長により引き起こされた。移動速度は温度勾配がない場合、ゼロであり、温度勾配の増大とともに増した。この移動速度と温度勾配の関係を地質学的スケールへ外挿し、数メートルのハイドレート層が実際の海底地層中の地温勾配下で完全脱塩する時間スケールを見積もった。結果は、数万年オーダーかかることを示した。 上記の二つの結果から、新しいハイドレートは塩分を含むが十分古いハイドレートは完全脱塩することを示した。
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Research Products
(3 results)