2003 Fiscal Year Annual Research Report
バイオマス系廃棄物の再資源化のための新規前処理法の開発
Project/Area Number |
15760577
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
長谷川 功 京都大学, 工学研究科, 助手 (20346092)
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Keywords | バイオマス / リグニン / 成分分離 / アセトン / 抽出 / 流通反応器 |
Research Abstract |
既設の流通式抽出装置を用いて,パームシェル,木材などの木質系バイオマスとアセトン水溶液を100〜250℃で処理することで,バイオマス中からリグニンの抽出を行った。脱リグニンの効果をとしては、180℃で1時間の処理で最大20%と不完全であった。したがって,第一段に水熱処理を行い,バイオマスの構造を緩和させた。その水熱処理により,20%のヘミセルロースを,水溶性の2糖ベースのオリゴ糖として回収することができた。糖の分析については,本研究課題に対する補助金で購入した,LCワークステーションを用いてグルコースやキシロース,マンノース,マルトースなどの糖の同定と定量をおこなった。また、アセトン水による抽出条件としては、温度,抽出時間,アセトン濃度を変化させて、操作条件が脱リグニン率に及ぼす影響を明らかにした。温度を変化させた場合は,200℃以上で40%もの著しい抽出率を示した。ただし,250℃以上においては,セルロースまでも加圧熱水により加水分解されることがわかった。ゆえに,バイオマスを各成分に分離したい場合は,アセトン抽出温度は230℃程度までということになる。抽出時間に関しては,1時間で十分であり,それ以上時間をかけたとしても,抽出率は伸びることなく炭酸ガスへの分解が激しくなることが明らかになった。また,アセトン濃度としては,体積基準でアセトン:水=1:1のときが最も大きな抽出率を示した。これはリグニンの溶解度パラメーターが,水とアセトンの溶解度パラメーターの中間値をとるという事実からも当然の結果といえる。以上,本年度は,水熱処理によるヘミセルロースの加水分解と,アセトン水によるリグニン抽出の操作条件を詳細に検討した結果,アセトン水濃度50%で1時間,230℃の条件が最適であった。
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