2004 Fiscal Year Annual Research Report
臨床応用への展開を目指すEGFRを標的とした組換え型ヒト型化diabodyの構築
Project/Area Number |
15760582
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
浅野 竜太郎 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (80323103)
|
Keywords | 巻き戻し / 二重特異性抗体 / diabody / EGFR / CD3 / ヒト型化 / IL-21 / 抗腫瘍効果 |
Research Abstract |
本研究は、当研究室により世界で初めて巻き戻しによる調製に成功した最小の組換え型二重特異性抗体(diabody)の中で、極めて高い抗腫瘍効果を示した上皮増殖因子受容体(EGFR)を標的としたEx3 diabody(Ex3)の医用へのより現実的展開を目的としている。今年度は、1.ヒト型化Ex3の機能改変と評価、2.抗腫瘍エンハンス分子融合Ex3の機能評価、3.Ex3の強力な傷害性に関与する因子、作用機序の解明、の観点から研究を進めた。実績は以下の通りである。(1)前年度作製したヒト型化Ex3を各種機能評価を行った結果、著しい活性の低下が見られた。そこで、機能回復のために直接抗原結合に関与しない残基に変異を導入した10種の変異体を作製したところ、いくつかに活性の回復が見られたため、その中で最もヒト由来配列の多いものをヒト型化Ex3とした。ヒト型化前のEx3とのすべての比較実験において、同等の効果を示し、またマウスを用いたin vivo治療実験でも延命効果が見られたことからもヒト型化Ex3の構築に成功したと言える。(2)昨年度構築した、等研究室で全合成法により構築した抗腫瘍サイトカインIL-21との融合Ex3(IL-21-Ex3)の機能評価を行ったところ、予期しない著しい活性の低下が見られた。この事は、Ex3の末端部位が構造形成、あるいは強力な活性に必要であることを示唆する重要な知見である。(3)蛍光試薬を用いた経時変化観察により、Ex3はアポトーシスを誘導するような働きがあることが分かった。またチロシンキナーゼの阻害能も調べたところ傷害性との相関が見られなかった。即ちチロシンキナーゼの阻害による成長阻害よりもEx3は明らかに早い傷害性を誘導しているという、既存の分子標的治療薬とは異なる作用機序を示唆する結果を得た。
|
Research Products
(5 results)