2004 Fiscal Year Annual Research Report
コンピューター内進化による疾病原因酵素阻害DNAアプタマーの探索
Project/Area Number |
15760584
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
池袋 一典 国立大学法人東京農工大学, 大学院・共生科学技術研究部, 助教授 (70251494)
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Keywords | 新規進化工学的手法 / コンピューター内進化 / Porphyromonas ginigivalis / gingipain / Taq DNA polymerase / Gカルテット構造 / DNAアプタマー / 阻害剤 |
Research Abstract |
本研究は、申請者の開発した新規進化的手法を用いて、疾病原因酵素を阻害するDNAアプタマーを、探索することを目的としている。 まず、平成15年度に引き続き、歯周病の原因となるPorphyromonas ginigivalisのgingipainに対して、いくつかの選択条件を変えた上で、SELEXを数ラウンド行い標的酵素に結合するDNAアプタマーを探索したが、gingipainに対して強い結合能を示すアプタマーは得られなかった。アプタマーは糖-リン酸骨格を有し、多数の負電荷を持つのでgingipainに対しては、有効なリガンドとならない可能性も考えられる。 そこで、酵素阻害活性を持つアプタマーを効率よく探索する手法として、SELEXにより探索されたDNAアプタマーを、コンピューターを利用して進化させる、新しい進化工学的手法の開発を試みた。Taq DNA polymeraseを標的酵素とし、SELEXである程度標的酵素に結合するDNAアプタマーを絞り込んだ。その後、候補アプタマーのTaq DNA polymeraseの阻害活性を評価し、これに従って順位付けをした後、コンピューターを用いて、上位のアプタマーの塩基配列を混成し、次世代の酵素阻害アプタマーの塩基配列を10個作成した。これを合成し、それぞれの酵素阻害活性を測定し、再びこの活性を指標に順位を決定した。 この操作を繰り返すことにより、世代毎に阻害活性の上昇したアプタマーを得ることができ、6世代後にはIC_<50>がnMレベルの強い阻害能を示すアプタマーを得ることができた。このアプタマーは,田の研究グループがSELEXに依って得たTaq DNA polymerase阻害アプタマーとは全く異なった塩基配列と構造を有し、本方法が、酵素活性阻害アプタマーを得る新規方法として有用であることが示された。
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Research Products
(2 results)