2003 Fiscal Year Annual Research Report
ニワトリB細胞株を利用する抗体の分子進化システムの構築と応用
Project/Area Number |
15760589
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
金山 直樹 岡山大学, 工学部, 講師 (70304334)
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Keywords | 分子進化工学 / タンパク質工学 / 抗体 / DT40 / 遺伝子変換 |
Research Abstract |
本研究は、DT40細胞の抗体遺伝子改変能力を利用して、抗体の分子進化システムを構築することを目的としている。本年度は、DT40細胞株において抗体遺伝子への突然変異と遺伝子変換の導入を厳密かつ任意に制御するために、突然変異と遺伝子変換に必須の因子であるAID遺伝子の発現をCre/IoxPシステムを用いた遺伝子組み換えによって制御する系を構築した。Crerecombinaseの活性は、エストロゲンレセプターとの融合タンパク(Cre-ER)として発現させることにより調節した。Cre-ERは、通常は細胞質に存在するが、4-hydroxytamoxyfen (4-OHT)の存在下で核内に移行し活性を発現する。Cre-ER発現ベクターをDT40に導入し、Cre-ERを発現するDT40細胞を作製した。AID遺伝子を、DT40のゲノムDNAを鋳型としてPCRによってクローンニングした。その遺伝子をもとに内在性のAIDを破壊するベクターを作製し、DT40に導入してAID KO細胞を作製した。Cre/IoxPシステムによってAIDの発現を調節するために、CMVプロモーターの下流に反対方向のIoxP配列によって挟まれたAID cDNAを挿入し、AIDの反転によって発現が厳密に制御できるようにデザインした。また、AIDのon/offをモニターできるように、AID、IRES、GFPを同方向にタンデムに並べ、さらにピューロマイシン耐性遺伝子はAIDとは逆方向にしてGFPの下流に並べて、2つのIoxP配列の間に挿入した。Onの時にはGFP発現細胞として、offの時はピューロマイシン耐性として選択できる。Off型のベクターを構築してCre-ER発現AID KO DT40に遺伝子導入し、ピューロマイシン耐性株を取得した。この細胞に4-OHTを添加すると、GFP発現細胞がFACSで確認され、その発現はIoxP配列の反転とAIDの発現と並行して起こっていることが確認された。すなわち、AIDの発現調節が人為的に可能な細胞株の育種を達成した。
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