2004 Fiscal Year Annual Research Report
高融点酸化保護傾斜膜を自己形成する炭素基複合材料の開発
Project/Area Number |
15760598
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
佐野 秀明 長崎大学, 工学部, 助手 (10253634)
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Keywords | 炭素 / セラミックス / 複合材料 / 高融点酸化保護傾斜膜 / 自己形成 / 最適作製条件 / 耐酸化性 / 機械的特性 |
Research Abstract |
炭素にB_4CおよびSiCを添加した複合材料は比較的低温である500℃からB_2O_3が、また1100℃以上の高温でSiO_2が生成し、平滑で緻密なボロシリケート酸化保護膜を自己形成し、1400℃までの高温で優れた耐酸化性を示す。昨年度は初年度の研究として、このボロシリケート酸化保護膜にZrO_2を傾斜的に配合させるため、複合材料の表面付近に塗布したZrO_2ゾルをボロシリケートガラスと高温で反応・固着させ、ガラス質酸化保護膜の高温特性を向上させた高融点酸化保護傾斜膜を有する炭素基複合材料を試作した。その結果、ZrO_2を含むボリシリケート酸化保護膜は、複合材料の耐酸化性と酸化進行に伴う機械的強度の劣化を低減させることが判ったが、酸化抑止効果は予測値よりも小さく、最適成分の探索を行う必要性が明らかとなった。この炭素基複合材料の耐酸化性評価は主に酸化中の質量減少から評価されてきたが、本複合材料は酸化時にB_2O_3とSiO_2のガラス成分を生成するため質量増加を考慮する必要があり、単に質量の変化から複合材料の耐酸化性の評価やそのメカニズムの解明は難しいという問題がある。従って本年度の研究では、従来の質量変化測定に加え、赤外線式ガス濃度測定装置(申請設備)を用いたCOおよびCO_2ガス量の測定、酸化前後のガス中における酸素量の測定により得られるデータから耐酸化性を評価する方法を確立すること、さらにB_4CおよびSiCを添加した炭素基複合材料の酸化メカニズムを解明することを目的とし実験を行った。その結果、質量変化に加えCOおよびCO_2のガス量の測定、酸化前後のガス中における酸素量の測定を行うことにより、炭素基複合材料の酸化挙動を精査することができ、このことより耐酸化性の発現メカニズムが明らかとなった。これらの評価法とその結果は、次年度の研究に大いに役立つことが期待される。
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