2003 Fiscal Year Annual Research Report
低放射化バナジウム合金における希土類酸化物制御による耐食性被膜の高性能化
Project/Area Number |
15760620
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
藤原 充啓 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (60333861)
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Keywords | 核融合炉材料 / バナジウム合金 / MHD被膜 / 耐酸化性 / 耐食性 |
Research Abstract |
本研究では核融合炉用低放射化バナジウム合金の実用化のため、(1)希土類元素による表面酸化物被膜安定性向上、(2)酸化物被膜とマトリクスの密着性向上、および(3)マトリクスの耐酸化性向上、のそれぞれより高性能耐食性MHD被覆を開発することを目的とし、本年度は(3)マトリクスの耐食性向上の観点から研究を行った。 まず合金組成の検討を行い、耐食性・耐照射損傷特性を有する可能性のあるバナジウム基高クロム含有合金に着目し、基本組成としてV-xCr-4Ti系合金を選択し、試作とその加工性、熱処理条件の最適化を調べた。 また候補組成のバナジウム合金の耐酸化性および耐食性評価のため、高温大気中酸化と高温高圧水中腐食試験を行った結果、以下の知見が得られた。 ・高温大気中酸化を行ったV-(4-20)Cr-4Ti合金において酸化物はVO_2とV_2O_5が主であることが分かった。形成するVO_2とV_2O_5の割合はCr濃度および温度に依存し、700℃酸化ではCr濃度の増加に伴いVO_2の割合が減少することが分かった。また、酸化による重量の増加は合金中のCr濃度の増加とともに抑制されることが明らかとなった。 ・高温高圧水腐食ではいずれの合金においても重量減少することが分かった。 ・高温高圧水腐食による重量減少の抑制効果はCr濃度の増加に伴い著しく、15%以上のCr添加合金では24h以降の重量減少が見られず、これらの合金の重量変化はオーステナイト系ステンレス鋼とほぽ同じレベルであることが分かった。 以上の結果からマトリクスであるバナジウム合金の耐酸化性および耐食性の向上には合金中のCr濃度の増加が効果的であり、高温水腐食による重量変化抑制という観点からは15%以上のCr濃度で十分な耐食性が得られることが明らかとなった。
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