2003 Fiscal Year Annual Research Report
量子ビーム応用による刺激応答機能性ゲルに関する研究
Project/Area Number |
15760639
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
泉 佳伸 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (60252582)
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Keywords | 量子ビーム / 放射線 / ハイドロゲル / 架橋 / 膨潤 / 収縮 / 刺激応答 |
Research Abstract |
汎用高分子の代表の一つであるポリ塩化ビニル(PVC)フィルム表面に、放射線グラフト重合法(照射時同時グラフト及び照射後グラフト)で、温度応答性を示すイソプロピルアクリルアミド(NIPAAm)をグラフト化し、複合膜を作製した。得られたフィルムは、32度を境界として、高温側でしなやかに屈曲変形し、低温側で元の形状に復元する、温度応答変形能を有する刺激応答材料となった。この材料の特徴は、力学的強度はPVCが担い、刺激応答性機能はポリNIPAAm部位が担うことによって、お互いの材料の欠点を補うことにある。この温度応答変形は何度でも繰り返し可能で、人工的な弁として応用が期待できる。NIPAAm部位はフィルム表面に接着しているのではなく、PVCと共有結合で結ばれていることがFT-IRによる測定から明らかになった。従って、水などの溶媒に耐性を示す。また、照射によって起こる反応の機構を明らかにした。 一方、アクリル酸(AAc)モノマー水溶液やゼラチン水溶液へのγ線照射も行い、照射によってAAcポリマーが得られること、ゼラチンの架橋反応が起こり、力学物性を制御できることが分かった。得られたポリAAc、架橋ゼラチンは、外部電場による刺激に応答し、膨潤・収縮することが分かった。また、吸収線量を増すと力学的強度が向上するが、外部電場刺激による応答の大きさは小さくなうことがわかった。従って、外部刺激応答性を損なわない範囲で力学的強度を増強する線量を選択することが重要である。これらの材料は、人工筋肉などのアクチュエーターとしての応用が期待できる。さらに、生体由来の材料であるゼラチンの架橋構造が照射によって制御できることから、人工筋肉や人工皮膚、生体補填材料としての適用の道を開いた。
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Research Products
(1 results)