2004 Fiscal Year Annual Research Report
量子ビーム応用による刺激応答機能性ゲルに関する研究
Project/Area Number |
15760639
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
泉 佳伸 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (60252582)
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Keywords | 量子ビーム / 放射線 / ハイドロゲル / 架橋 / 膨潤 / 収縮 / 電場応答 / 磁気応答性 |
Research Abstract |
生体高分子の代表としてゼラチンを用い、ゼラチン水溶液や固体ハイドロゲルにγ線照射することにより起こる粘弾性等の力学的変化を明らかにし、量子線プロセシングにより生体高分子の諸物性の設計が可能であることを示した。本年度は特に、量子線プロセシングを積極的に応用し、ゼラチンを用いたアクチュエーター開発を行なった。ゼラチンは電場応答変形特性を有するが、量子線照射によってもその特性は失われることはなく、しかも、未処理では溶解してしまうような環境下においても、量子線照射によって耐性が飛躍的に向上した。また、力学的強度も向上した。この改質は、ハイドロゲルの構造内部に共有結合性の架橋を導入したことによって、より強固な3次元ネットワークが形成されたことによると考えられる。また、この架橋形成反応は、外部応答機能を支配する官能基には影響を及ぼさないため、外部応答性を損なうことがなかったものと考えられる。以上より、電場応答変形特性を利用したソフトアクチュエーターを創成することができた。 さらに、動的光散乱によってナノレベルでの粒子径分布の変化を追跡した。その結果、ゼラチン希薄水溶液へのγ線照射によって架橋反応が進行し、ナノ粒子の粒子径成長が確認された。また、得られたナノゲルやマクロゲルの生分解特性を模擬胃液(ペプシン)で調べたところ、照射によって分解速度が低下することが明らかになった。この結果は、生体由来高分子を薬物等の担体として応用する場合に、膨潤・収縮特性、徐放性のみならず、体内での分解特性を制御出来る可能性を示唆している。 得られたゲルに磁気応答性も付与させるために、γ-Fe_2O_3共存下でも量子線処理を施し、磁性ナノ粒子との複合化に成功した。これらの技術を組み合わせることによって、生分解性が制御された徐放性を有する磁気制御のドタッグ・デリバリー・システムの構築も可能である。
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Research Products
(2 results)