2003 Fiscal Year Annual Research Report
ウラン・レドックスフロー電池の優れた活物質・隔膜の分子設計による創製
Project/Area Number |
15760641
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山村 朝雄 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (20281983)
|
Keywords | ウラン・レドックスフロー電池 / 高エネルギー効率 / 高速の電極反応 / テトラケトン配位子 / ウラン錯体 |
Research Abstract |
ウラン・レドックスフロー電池とは、ウランが二組の可逆の酸化還元対を持つことに着目して我々が提案した、自然エネルギーの出力平滑化のための電力貯蔵用電池である。ウランのIII価からVI価の4つの酸化状態が安定であるためには非プロトン性溶媒を用いる必要があり、高いエネルギー効率のためには高い溶解度と高速で可逆の電極反応が必要である。この条件を満たす優れたウラン電池活物質として、すでにウラン・テトラケトン錯体を創製した。今年度は、ウラン錯体を用いて非プロトン件溶媒で動作するレドックスフロー電池の開発をめざして検討を進めてきた。 ウラン電池は放電状態、すなわち充電前の状態において、正負極がそれぞれU(V)およびU(IV)であることから、この放電状態の溶液を調製することを試みた。U(IV)錯体を直接調製できることから、U(IV)溶液は錯体の溶媒への溶解により容易に調製できる。一方U(V)錯体は直接調製できず、また溶液中で長時間安定であるとの報告例はない。そこで、調製したU(VI)錯体をバルク電解還元によりU(V)溶液の調製を試み、この溶液の電位測定、可視紫外吸収スペクトル測定、酸化滴定によりU(VI)錯体が溶液中で安定であることを確認することができた。これは非プロトン性溶媒中でU(V)が安定であることを示すもので、ウラン化学の常識を覆す大きな成果であり、またウラン電池の開発にとって最初の難問をクリアしたことを示す。 さらに、ウラン電池に用いる隔膜であるイオン交換膜が非プロトン性溶媒中で使用可能であるか否かについて検討を行った。様々な非プロトン性溶媒中でのイオン交換基の解離度と、様々な陽イオン、陰イオンの輸率とを決定したところ、非プロトン性溶媒中でもイオン交換基の解離度は低くなるものの、イオン交換膜として機能していることが明らかになった。
|
Research Products
(1 results)