2004 Fiscal Year Annual Research Report
新しいタイプのゲノム不安定性「一塩基不安定性」の原因遺伝子の解明
Project/Area Number |
15770004
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Research Institution | National Cancer Center Research Institute and Research Center for Innovative Oncology, National Cancer Center Hospital East |
Principal Investigator |
高田 江里子 国立がんセンター(研究所), 発がん研究部, 室長 (50300942)
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Keywords | 遺伝子不安定性 / 点突然変異 / 乳がん / ラット細胞株 / hprt / lacI / DMBA / PhIP |
Research Abstract |
一塩基不安定性は、マイクロサテライト不安定性を示さないにも関わらず、点突然変異の増加を示すゲノム不安定性である。その原因遺伝子は全く不明であるが、一塩基不安定性を示す腫瘍と示さない腫瘍とで遺伝子発現プロファイルを比較することで、関与する遺伝子またはシグナル経路に関する示唆が得られると期待される。そのためにまず、一塩基不安定性を示す2-amino-1-methyl-6-phenylimidazo[4,5-b]pyridine(PhIP)誘発ラット乳がんと比較可能な、一塩基不安定性を示さないラット乳がんを得ることを試みている。平成15年度までに、雌(lacI-transgenic F344 Big Blue^【○!R】 xSD)F_1ラット30匹に7,12-dimethyl-benz[a]anthracene(DMBA)50mg/kgを投与し、乳がんを誘発、13系統のラット乳がん細胞株を樹立した。ヌードマウスでの造腫瘍能は、検討した6系統のうち1系統のみ(#DMBA397)が陽性であり、一塩基不安定性を示すPhIP誘発乳がんとは対照的な結果であった。本年度は、これらの乳がんについてマイクロサテライト変異の有無を解析した。ラット染色体1から20までの各染色体に分布する21座位のマイクロサテライトマーカーについて、細胞株のDNAと正常乳腺のDNAを増幅、アクリルアミドゲルを用いた電気泳動で変異を検討した。現在までに解析が終了した7系統の細胞株のうち、#DMBA362については2箇所で、#DMBA327と#DMBA352についてはそれぞれ2箇所で変異を認めたが、残りの4系統では全く変異を認めなかった。従って、これら7系統のDMBA誘発ラット乳がん細胞株では、マイクロサテライト不安定性の原因となるミスマッチ修復系には異常がないことが示唆された。現在、これら細胞株の点突然変異頻度を測定している。
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