2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15770006
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
久保 拓弥 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 助手 (80344498)
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Keywords | 針葉樹 / 樹木 / シミュレイション / 光合成 / 呼吸 / 水利用 / 資源成分 / 三次元モデル |
Research Abstract |
今年度はおもに八ヶ岳の縞枯山観測データの針葉樹の樹形データベイス化によって明らかになったパターンと,開発中の針葉樹シミュレイターの挙動を比較することで,改善点をとりまとめ再設計を行った.観測データにみられるパターンを再現するべく,.吸水器官として発達する地下部モデルと樹木内の水ポテンシャル動態を導入することで,大サイズ個体における樹高成長量の低下などを説明することに成功した.さらにこれらの個体シミュレイターを組み合わせた仮想樹木集団において自己間引きなど植物個体群生態学ではよく知られた現象を再現できた.これらの成果は植物学会大会シンポジウムで発表し,現在は投稿論文を作成中である. この主題と併行して,共同研究者たちとともに樹木個体内の資源分配問題(アカマツ)と個体の生活史におけるサイズ変化の重要性(カエデ属)のモデリングも本課題の解決に必要な問題として解決した.アカマツ研究では汚染環境下における補償にともなう資源分配切り換えを最尤推定する手法を開発し,環境と樹木形態の変化に説明を与えた.カエデ属の研究では直径成長解析に必要な複合確率分布の推定方法を開発し,それに基づいてモデル化された樹木成長が個体の生涯繁殖量に与える影響をシミュレイションによって評価できるようにした.どちらも共同研究者とともに投稿論文として準備中である. また上記の樹木シミュレイター関発に伴って成熟しつつある三次元葉群内の三次元光分布計算の技術が,光合成に関する林冠全体の光利用効率の(地球環境変化にともなう)変化を予測する問題に応用可能であると判明した.これは林冠全体の光合成速度が,天球上の光分布(例:散乱光成分)と植物の三次元構造の組み合わせにどう依存しているのかを数億計算によって明らかにするものである.この課題は地球環境モデリング専門の共同研究者とともに推進しつつある.
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