2004 Fiscal Year Annual Research Report
アリ植物と共生アリの共種分化関係における種特異性を維持する化学的機構の解明
Project/Area Number |
15770008
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
乾 陽子 大阪教育大学, 教育学部, 助手 (10343261)
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Keywords | マカランガ / アリ植物 / 東南アジア熱帯 / 共進化 / 種特異性 / 揮発性成分 / 宿主特異性 |
Research Abstract |
マレーシア・サラワク州のランビルヒルズ国立公園の熱帯雨林にある研究調査地に、2004年は2度渡航し、現地にてマカランガ属のアリ植物調査活動を行った。 ●アリ植物の実生の揮発性成分 マカランガ実生を野外で採集して苗畑で栽培し、溶媒抽出法および固相マイクロ吸着法(SPME)や吸着剤TENAX-TAを使用したヘッドスペース法により、揮発性の成分の採取を試みた。その結果、溶媒抽出法により揮発性成分を検出でき、その組成が種間で異なることが分かった。実際に空気中に放出される成分を直接トラップするためには、ヘッドスペース法が有効だが、実生からの成分は非常に微量であるため検出されにくく、現在採集方法の改良を進行中である。また、野外にで定点デジタルビデオカメラ撮影装置を設け、実生に創巣女王アリが侵入する過程の撮影を試みたが、成功には至っていない。 ●アリによる防衛行動とアリ植物の揮発性成分 マカランガ稚樹の葉を野外で採集し、固相マイクロ吸着法(SPME)や吸着剤TENAX-TAを使用したヘッドスペース法により、揮発性の成分の採取を試みた。その結果、TENAX-TAにより、揮発性成分を検出でき、その組成が種間で異なることが分かった。また、稚樹の葉片の匂いに対する共生アリの攻撃反応を比較する野外実験を行ったところ、共生アリは宿主マカランガの葉片の匂いに対して、特に高い攻撃行動を示すことが分かった。このことより、マカランガの葉が食害されたときなどに、そこから放出される種特異的な匂い、すなわち揮発性成分をシグナルとして、共生アリが宿主を防衛するために攻撃行動を起こすと考えられる。現在この結果を論文にまとめ、投稿中である。
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Research Products
(1 results)