2003 Fiscal Year Annual Research Report
多雨林における純一次生産量の長期変動と地理変異に関する研究
Project/Area Number |
15770013
|
Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
相場 慎一郎 鹿児島大学, 理学部, 助手 (60322319)
|
Keywords | 多雨林 / 純一次生産 / 屋久島 / キナバル山 |
Research Abstract |
本研究は、東アジアの熱帯から温帯にかけての多雨林の純一次生産量の長期変動を明らかにすることを第一の目的とする。地上部の純一次生産量は、森林の現存量(幹と大枝)の増加分+葉や小枝の生産量として定義される。森林の現存量の増加分は樹木サイズの継続測定によって既存の経験式を用いて推定できる。葉や小枝の生産量を直接測定するのは困難であるが、原生的森林では生産量と死亡量がつり合うと仮定できるので、リター(落葉・落枝)量の測定によって推定できる。現存量の増加翁の推定のため、15年7-12月に屋久島で、15年9月にマレーシアのキナバル山で調査区の樹木幹直径の再測定をおこなった。また、屋久島ではリタートラップ(落下してくるリターを捕捉する網)によるリター量のモニタリングをおこなった。6調査区で各10個のリタートラップが設置してある。リタートラップにたまった落葉・落枝は研究代表者がおよそ月1回回収し、葉・繁殖器官・枝と樹皮・その他に分別して乾重を測定した。 また、おもにキナバル山について、これまでの研究成果を以下のようにとりまとめた。山地多雨林の樹木種の地形と林冠構造に対するすみわけを分析した論文をPlant Ecology誌に投稿し受理された。山地多雨林で土壌栄養塩(特にリン)濃度が異なる2つの林分の生産性を比較した論文の一部を分担し、この論文はEcosystems誌に受理された。山地多雨林で地形と地質の異なる6つの林分の現存量・生産性・分解を比較した論文を共著でOecologia誌に発表した。
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] Aiba, S., Kitayama, K., Takyu, M.: "Habitat associations with topography and canopy structure of tree species in a tropical montane forest on Mount Kinabalu, Borneo."Plant Ecology. 印刷中. (2004)
-
[Publications] Kitayama, K., Aiba, S., Takyu, M., Majalap, N., Wagai, R.: "Soil phosphorus fractionation and phosphorus-use efficiency of a Bornean tropical montane rain forest during soil ageing with podozolization."Ecosystems. 印刷中. (2004)
-
[Publications] Takyu, M., Aiba, S., Kitayama, K.: "Changes in biomass, productivity and decomposition along topographical gradients under different geological conditions in tropical lower montane forests on Mount Kinabalu, Borneo."Oecologia. 134. 397-404 (2003)