2004 Fiscal Year Annual Research Report
森林生態系における菌根および菌根菌の現存量とそれらの呼吸速度の推定
Project/Area Number |
15770015
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
藤吉 正明 東海大学, 教養学部, 講師 (70349322)
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Keywords | 森林生態系 / 菌根 / 土壌炭素フロー / 土壌呼吸 / 亜高山帯 / 富士山 / 炭素循環 / シラビソ |
Research Abstract |
森林生態系の土壌炭素フローに対する菌根および菌根菌の影響を明らかにするために、植生遷移に伴う菌根タイプの把握と四季を通した菌根の現存量および呼吸速度の推定を行った。 菌根タイプの把握のために、富士山の亜高山帯において植生遷移の異なる群落(イタドリ群落〜シラビソ林)を調査地とした。その結果、遷移初期の群落ではアーバスキュラー菌根のみが確認され、その後遷移の進行とともに菌根タイプは増加し、5タイプの菌根形成が確認された。遷移後期のシラビソ林では、外生菌根が優占していた。 菌根の現存量および呼吸速度の推定のために、富士山の亜高山帯針葉樹林(シラビソ林)に調査地を設けた。菌根の呼吸速度は、土壌中に塩ビ管を埋設することによって物理的に菌根の侵入を遮断した根無し区、根切り処理を行い新たな菌根を侵入させた菌根区、および対照区(3区各8-10反復)を設け、2004年の4月から11月の期間毎月1回各区の土壌呼吸を測定し、菌根区から根無し区の土壌呼吸量の差し引きにより菌根の呼吸量を推定した。 四季を通した土壌呼吸速度の変化は、各処理区とも同じ傾向を示し、4月から7月にかけて急激に増加した後、11月にかけて徐々に減少した。菌根の呼吸速度は、0.55(4月)-3.44(7月)μmolCO_2/m^2 sであった。菌根の呼吸速度の最も高かった7月において、土壌呼吸に対する菌根呼吸の寄与率は、72%であった。菌根の現存量は、四季を通して余り変化がなく、0.2-0.3g/425cm^3の範囲であった。これらの結果より、菌根の呼吸は、土壌呼吸の主要な構成要素であるとともに土壌炭素フローに大きな影響を与えている可能性が示唆された。 推定の精度を高めるため、来年度も引き続き調査を行い、生態系の土壌炭素フローに対する菌根菌も含めた菌根の役割を明らかにする予定である。
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Research Products
(1 results)