2003 Fiscal Year Annual Research Report
円網性クモにおける網構造の多様性と餌認知及び捕食行動の関係について
Project/Area Number |
15770017
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Research Institution | Nagasaki Institute of Applied Science |
Principal Investigator |
中田 兼介 長崎総合科学大学, 人間環境学部, 講師 (80331031)
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Keywords | クモ / 採餌生態 / 網構造 / 認知生態 / 最適行動 |
Research Abstract |
ゴミグモ属の一種、ゴミグモ(Cyclosa octotuberculata)の網における餌衝突領度と採餌成功率に方向によって差が見られるかどうかを調べるため、野外での採餌イベントを撮影した。予備的な解析からは方向性について傾向はみられなかったが、より精密な解析を次年度で行う予定である。 また、ゴミグモを実験室下で餌条件を制御しながら飼育した。これに対し餌を網の上方向と下方向に静かに置き、クモの反応をビデオに撮影した。解析の結果、1)上下方向で餌を発見し餌のある場所を認知するまでの時間、2)餌に向き直るまでの時間、3)餌の場所まで移動するのに要する時間、のいずれも餌が上方向にあるときの方がより時間がかかっていたが、その中でも1)の影響が量も大きかった。同様の実験をギンメッキゴミグモ(Cyclosa argenteoalba)、ギンナガゴミグモ(Cyclosa ginnaga)、ミナミノシマゴミグモ(Cyclosa confusa)も用いて行い、現在データ解析の最中である。 上記の実験から、餌認知にかかる時間がクモの採餌成功を決め、ひいては網構造を決める究極要因に影響することが示唆される。このため餌が発する振動が網の糸上をどのように伝播してくるかについての計測を試みた。プラスチック枠内に網を張らせ、脚が置かれている糸を光学的に拡大し1/100秒単位で変異を計測した。しかし、この実験装置では室内の空気の流れによる網の振動も同時に拾ってしまうため、満足な計測精度が得られなかった。さらにクモ自体が計測途中に動く事によるノイズも計測精度を落とす事が明らかとなった。次年度はこれらの影響を受けない形で計測できる手法を開発する事が課題となる。
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