2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15770023
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山田 真紀 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 助手 (10332595)
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Keywords | 細胞死 / アポトーシス / ストレス応答 / プログラム細胞死 / シロイヌナズナ / 環境適応 / 活性酸素 / 小胞体 |
Research Abstract |
本研究では植物の環境ストレス適応や、病原抵抗性と深い関わりを持つAtBI-1(Arabidopsis Bax Inhibitor-1)遺伝子の機能解析を中心に行い、本年度は以下の研究成果を得た。AtBI-1遺伝子は当初、動物のアポトーシス促進因子であるBaxが酵母に引き起こす細胞死を抑制する因子としてシロイヌナズナより単離されたが、本研究により植物細胞内でも活性酸素が誘導する細胞死を抑制することが明らかとなった。すなわち、本遺伝子を過剰発現するタバコBY-2細胞は過酸化水素やサリチル酸に耐性を示した。さらに、本遺伝子を発現するイネの培養細胞はイモチ病菌由来のエリシターが引き起こす過敏感細胞死も抑制することが明らかとなった。また、最近では本因子とオオムギのうどん粉病抵抗性遺伝子Mloとの機能的類似性が報告され、AtBI-1が種々のストレスに対して細胞の生存を可能とするsurviving factorとして機能していることが示唆された。また、本研究ではAtBI-1による細胞死抑制機構を明らかにするため、酵母の遺伝子破壊株を用いた解析をおこなった。すなわち、AtBI-1が細胞死を抑制できない遺伝子破壊株の探索を行い、AtBI-1による細胞死抑制能に関与する因子の単離を行った。その結果、細胞内カルシウムイオンの濃度調節に関与する遺伝子(Pmr1,Spf1)が欠損した酵母株ではAtBI-1が細胞死を抑制できないことが明らかとなった。また、AtBI-1を過剰発現するタバコの培養細胞を用いて、サイトゾルのカルシウム濃度の定量実験を行った結果、AtBI-1の発現により、小胞体へのカルシウムの取り込みに関与するカルシウムポンプの活性化が起きている可能性が示された。今後、これらのノックアウト植物を用いる等して、植物細胞内におけるAtBI-1による細胞死抑制の機構を明らかにしていく予定である。
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Research Products
(6 results)