2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15770050
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
志賀 向子 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (90254383)
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Keywords | 概日リズム / ルリキンバエ / 成虫休眠 / PDFニューロン / 脳側方部 / 免疫電顕 |
Research Abstract |
光周性のメカニズムは植物において分子生物学的な研究が進みつつあるものの、動物においてその知見は乏しい。神経系をもつ動物はどうやって日長を区別し、生理状態を切り替えるのだろうか?本研究では成虫休眠を調節する光周性を示すルリキンバエを用いて、1)概日時計ニューロンが光周時計の測時機構として機能するか?2)休眠誘導に重要な脳側方部にあるpars lateralis (PL)ニューロンが分枝する前大脳背側-側方領域が光周時計の場であるか?という二つの点から光周性の神経機構を探ることが目的である。 本年度はキイロショウジョウバエで概日活動リズムの時計ニューロンとして重要な視葉視髄基部にある PDF(pigment-dispersing factor)免疫陽性ニューロンに着目し、以下の結果を得た。 1)ルリキンバエのメス成虫において、視髄前方基部を破壊し、同一個体で概日活動リズムと光周性を調べ、免疫組織学的にPDF免疫陽性ニューロンが除去されたかどうか確認した。その結果、視髄前方基部の小形PDFニューロンの数が減少すると、無リズムの個体が増加した。また、視髄前方基部の破壊により、光周期にかかわらず卵巣を発達させる個体が増加した。 2)バックフィルと免疫電顕法による観察から、視葉基部に細胞体をもつPDF免疫陽性ニューロンとPLニューロンの一部が前大脳背側-側方部でシナプスを形成している事がわかった。 以上より、概日リズムと光周性に共通して視髄前方基部が重要であると考えられた。また、PLニューロンの一部は、時計関連ニューロンからの入力を受けている可能性か考えられた。
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