2005 Fiscal Year Annual Research Report
立体構造情報に基づくBTG/Tobファミリー蛋白質の細胞増殖抑制機構の解明
Project/Area Number |
15770063
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
堀内 正隆 北海道大学, 大学院・薬学研究科, 助手 (90322825)
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Keywords | 構造生物学 / 細胞増殖抑制因子 / BTG / Tobファミリー / X線結晶構造解析 / 蛋白質間相互作用 / 生殖細胞分化 / RNA代謝 / 翻訳調節 |
Research Abstract |
平成17年度は昨年度決定した位相をもとにしてポリヒスチジンタグを付加したTob蛋白質のアミノ末端側ドメイン(HisTob)とhCaf1との複合体(HisTob-Caf1)の立体構造を2.5オングストローム分解能で決定することに成功した.興味深いことに,HisTobにおけるhCaf1との接触面は,BTG/Tobファミリーに高度に保存されている領域Box A及びBox Bによって構成されていた.この相互作用が溶液中でも実際に生じていることを,Box Bのトリプトファン93番のアラニン置換体とhCaf1とが免疫沈降しなかったことによって証明した.したがってBox A及びBox Bが高度に保存されてきた理由の一つは,Caf1を特異的に認識するためであると考えられる.次に立体構造情報データベース(DALI)において類似の立体構造をもつ蛋白質を検索したところ,HisTobについては相同性の高い蛋白質は存在せず,新規の構造ドメインであることがわかった.一方,hCaf1はRNaseDファミリーに属する複数の蛋白質との相同性が見られ,DNaseあるいはRNaseのいずれかであることが示唆された。そこで実際にin vitroにおいて数種の金属イオンの存在下でヌクレアーゼ活性を測定したところ,マンガン存在下において一本鎖ポリ(A)RNAを強く切断したことから,hCaf1はポリ(A)特異的デアデニラーゼであることが証明された.なおRNase活性に対してHisTobは影響しなかった.Tob及びhCaf1は線虫から哺乳類まで高度に保存されており,かっ生殖細胞の発生にはとりわけ重要である.今後は本研究の成果が発生生物学の分野において利用されることが期待される.
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