2003 Fiscal Year Annual Research Report
バクテリアの細胞死に関与する蛋白質の構造生物学的研究
Project/Area Number |
15770075
|
Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
鎌田 勝彦 独立行政法人理化学研究所, 細胞生理学研究室, 研究員 (70360526)
|
Keywords | X線結晶構造解析 / 蛋白質複合体 / バクテリア / 細胞死 / MazEF |
Research Abstract |
ある種のプラスミドは、その宿主の中で維持されるためのシステム(addiction system)を持っている。これは一般的にバクテリアのprogrammed cell deathシステムとも呼ばれ、toxinとantidoteの二種類の蛋白質で制御される。形質導入されたプラスミドは、toxinとantidoteを同時に供給する。しかし細胞分裂が進み、そのプラスミドを保持していない細胞では、不安定なantidoteの分解によって、安定なtoxinが活性化され、宿主の特定蛋白質の活性を阻害し細胞死に至る。これまでのところ、宿主のターゲットは、数種類しか同定されていないが、同様な機構を持っていると考えられる分子が大腸菌宿主にも数種存在する。 当研究において、バクテリアの細胞死に関与すると考えられる二つの蛋白質、MazE : antidote, MazF : toxin、の複合体の結晶化に成功し1.7Å分解能で立体構造解析した。MazE-MazF複合体は2:4のヘテロヘキサマーを構成している。特徴的なMazEのC末端は、隣に配置するMazFダイマーの一方の分子と密接な相互作用を有している。その結合部位は大きく4つ(Site 1-4)にわけられ、特にSite 1では、toxinとantidoteに保存された残基間の相互作用がみられる。また、類似Toxinの構造比較から、Antidoteの結合に際してのみ見られるコンフォメーション変化が明らかになった。これまでに得られた分子生物学知見により、toxinの標的蛋白質の認識とantidoteによる不活性化は、addiction systemに保存された共通な機構であることが示唆された。この複合体分子は、自己のプロモーター領域を認識し、転写を負に抑制する。このときのDNA結合のモデルと、その結合様式を考察することができた。
|
Research Products
(1 results)