2004 Fiscal Year Annual Research Report
酵母HOG経路のシグナル特異性決定に関わるPbs2MAPKKの足場機能の研究
Project/Area Number |
15770082
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
舘林 和夫 東京大学, 医科学研究所, 助手 (50272498)
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Keywords | 出芽酵母 / HOG経路 / 高浸透圧 / MAPキナーゼ / PBS2 / STE11 / STE50 / ドッキング・サイト |
Research Abstract |
生物は絶えず生活環境の変化にさらされており、こうした環境ストレスに迅速に適応するために、ストレス応答MAPキナーゼ(MAPK)情報伝達経路が存在する。この経路は出芽酵母からヒトにいたるまでよく保存されており、出芽酵母では高浸透圧に対するHOG経路が存在する。HOG経路にはMAPKキナーゼ(MAPKK)であると同時に足場蛋白質でもあるPbs2が存在し、HOG経路を構成する複数の因子と結合しシグナル伝達の足場となることで、迅速かつ正確なシグナル伝達を可能にしている。Pbs2の足場機能を分子レベルで明らかにするため、相互作用する因子との結合の分子様式について詳細に解析した。 1.私は昨年度Pbs2MAPKKのN末領域がSte11 MAPKKKと結合することを見いだした(Tatebayashi et al.;EMBO.J.2003)。本研究ではPbs2のN末に系統的な欠失を導入し、共沈実験によりSte11との結合領域を詳しく解析した。Ste11結合領域はPbs2のN末に2カ所存在し、どちらか一方だけでもSte11との結合は保持され、両者を同時に欠失させてはじめて結合がなくなることがわかった。この領域は私が昨年度発見したPbs2のSsk2/Ssk22 MAPKKKとのドッキング・サイトとは異なっており、Pbs2は複数のMAPKKKに対して異なるドッキング・サイトを有していることがわかった。 2.Ste11結合蛋白質のSte50がSte11を介することなしにPbs2と結合することがわかった。Pbs2内のSte50結合部位を調べたところ、Ste11に対するPbs2の2カ所の結合部位がSte50との結合にも関与することが明らかになった。Pbs2、とSte50の結合はこれまで報告されておらず、HOG経路の活性化や特異性決定の分子機構を解明する大きな手がかりになると考えられた。
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Research Products
(1 results)