2004 Fiscal Year Annual Research Report
蛋白質工学的手法による脳神経シグナル伝達系の解明とその人工制御
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15770085
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
若杉 桂輔 京都大学, 工学研究科, 助手 (20322167)
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Keywords | 蛋白質工学 / 脳神経シグナル伝達系 / 酸化ストレス / ニューログロビン / アミノアシルtRNA合成酵素 / 神経細胞化 / モジュール / 人工制御 |
Research Abstract |
1.脳内グロビン蛋白質Neuroglobin (Ngb)の分子進化 最近、脳内に、可逆的な酸素結合力河能な蛋白質Ngbが存在することが報告され、酸化ストレスに伴う神経細胞死の抑制へのNgbのかかわりが指摘されている。しかしながら、その神経細胞死の抑制メカニズムはまだ明らかになっていない。我々は、最近、ヒトNgbが、従来の酸素貯蔵するグロビン蛋白質とは異なり、三量体G蛋白質のαサブユニットと結合しGDP/GTP交換反応抑制蛋白質(GDI)として機能する酸化ストレス応答性のシグナル伝達センサー蛋白質であることを発見した。さらに、我々は、魚類NgbのcDNAをクローニングし、大腸菌での蛋白質発現、蛋白質精製し、解析した結果、魚類NgbにはGDI活性がないことが判明した。そこで、魚類、ヒトNgb間で、部位特異的なアミノ酸置換、さらにモジュール置換した種々の蛋白質を作製し、構造及び機能解析を行い、GDI活性に重要なNgbのアミノ酸残基の特定に成功した。 2.Yeast two hybrids screening法によるNgbと結合する脳内蛋白質(G蛋白質以外)の探索 脳神経シグナル伝達系におけるNgbの役割をさらに検討するために、ヒトNgbをbaitとし、Yeast two hybrid systemを用いて、Ngbと相互作用する相手分子をhuman brain cDNA libraryから探索した。その結果、システインプロテアーゼ阻害因子である"Cystatin C"、及び、脂質ラフト構成蛋白質である"Flotillin-1"が、Ngbと特異的に結合することを明らかにした。 3.アミノアシルtRNA合成酵素の酸化ストレス下での新規機能の解明 トリプトファニルtRNA合成酵素(TrpRS)は、tRNAにトリプトファンを結合させる反応(アミノアシル化)を触媒する酵素である。ヒトのTrpRSと相互作用する蛋白質を探索したところ、解糖系の酵素であるグリセルアルデヒド3-リン酸デヒドロゲナーゼ(GapDH)がTrpRSと結合し、さらに、酸化ストレスに応答してTrpRSのアミノアシル活性を上昇できることが明らかになった。
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Research Products
(5 results)