2003 Fiscal Year Annual Research Report
小胞輸送におけるタンパク質選別・輸送小胞形成の再構成系の構築
Project/Area Number |
15770091
|
Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
佐藤 健 独立行政法人理化学研究所, 生体膜研究室, 研究員 (00303602)
|
Keywords | 小胞体 / 輸送小胞 / 再構成 / GTPase / 出芽酵母 / 小胞輸送 |
Research Abstract |
ERからゴルジ体への小胞輸送の過程で、ERにとどまるタンパク質とゴルジ体へと送り出されるタンパク質(積み荷タンパク質)の選別が起こることは広く認められているものの、その分子機構については多くの研究グループによる精力的な研究にもかかわらず、現在も小胞輸送における大きな課題となっている。申請者は、ERにおいて積み荷タンパク質を特異的に認識するようなレセプターの同定を出芽酵母を用いて生化学的、遺伝学的に試み、これまでに膜タンパク質であるEmp47pを同定している。本研究では、申請者が同定した積み荷タンパク質選別レセプター(Emp47p)とその基質を人工膜小胞に再構成し、輸送小胞形成に必要な可溶性因子(COPII、Sar1p、GTP)とともに、これまで世界のどのグループも成功していない、精製因子のみによる積み荷タンパク質の選別・輸送小胞形成の完全再構成系の構築を試みた。Emp47pを再構成したプロテオリポソームに精製したCOPIIコートとGMP-PNPを加えることにより、直径約50nmのCOPII小胞が形成されることを電子顕微鏡によって確認できた。また、形成させたCOPII小胞をドナーとなるプロテオリポソームからショ糖密度勾配遠心によって分離することができた。形成されたCOPII小胞には、積み荷タンパク質がドナーとなるプロテオリポソームと比べて、約1.5〜2倍濃縮されていることが確認できた。このプロテオリポソームを用いて、COPII小胞形成時におけるSar1pのGTPase活性を測定したところ、輸送されるタンパク質が膜上に存在すると、Sar1pのGTPase活性が促進されることが解った。また、このSar1pはGTP加水分解により、高次構造が未形成の積み荷タンパク質がCOPII小胞に取り込まれないようにproof-readingを行っているというモデルを提唱した。
|
Research Products
(1 results)