2003 Fiscal Year Annual Research Report
超高分解能X線結晶構造解析でバクテリアのヘム分解反応を見る
Project/Area Number |
15770095
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
海野 昌喜 東北大学, 多元物質科学研究所, 助手 (10359549)
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Keywords | ヘムオキシゲナーゼ / ヘム / 反応中間体 / X線結晶構造解析 |
Research Abstract |
バクテリアのヘムオキシゲナーゼ(HO)は、バクテリア自身の生存・繁殖に必要な鉄を獲得するために、宿主より得たヘムを分解する酵素である。HOのヘム分解反応は3段階の酸化反応で、その特異な反応のメカニズムに興味が持たれている。 平成15年度は、ジフテリア菌由来のHOであるHmuOの酸化型・還元型の高分解能構造解析に続き、不安定な反応中間体の一つである酸素化型の構造を1.85Åで決定した。結晶状態では、通常の方法でヘム分解反応を開始させ、結晶内すべての分子で同一の各反応中間体を捕らえることは困難であた。そこで我々は、嫌気グローブボックス内で結晶を操作し、完全な還元型結晶を作製することと、余分な還元剤を完全に取り除くことにより、より完全性の高い酸素化型結晶を作製することに尽力した。X線回折強度収集実験はSpring-8のBL41XUで行ったが、0.6mm厚のアルミニウム板をアテネーターとして用い、露光時間も5秒として過度の放射線露出を避けた。また、回折強度収集実験の前後に結晶の光吸収測定システムを用い、分光学的にも酸素化型の結晶であるごとを確認した。 また、本酵素の最終生成物であるビリベルジンを結合したビリベルジン-HmuO複合体のX線結晶構造解析も行った。、この構造は哺乳類のHOのビリベルジン複合体とは大きく異なっており、ビリベルジンの放出におけるヘムオキシゲナーゼの多様性を示す結果となった。 さらにその他の生成物である一酸化炭素(CO)がヘム鉄に結合したCO結合型と多くの結晶構造解析で酸素化型のモデルと考えられてきた一酸化窒素(NO)結合型の構造解析を行い、酸素化型と構造を比較して、HOが二原子分子を見分ける機構を構造的観点から考察することができた。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Unno, M., et al.: "Crystal structure of the dioxygen-bound heme oxygenase from Corynebacterium diphtheriae: Implications for heme oxygenase function"The Journal of Biological Chemistry. (In press). (2004)
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[Publications] Hirotsu, S., et al.: "The Crystal Structures of the Ferric and Ferrous Forms of the Heme Complex of HmuO, a Heme Oxygenase of Corynebacterium diphtheriae."The Journal of Biological Chemistry. 279(12). 11937-11947 (2004)