2004 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子発現調節としてのmRNA分解:G蛋白質Ski7と脱キャップ酵素による制御
Project/Area Number |
15770106
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
荒木 保弘 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 助手 (60345254)
|
Keywords | mRNA分解 / G蛋白質 / NMD |
Research Abstract |
真核生物には、転写・複製中のエラーや不適切なスプライシングにより生じた未成熟な翻訳終結(ナンセンス変異)を含むmRNAを選択的かつ積極的に分解する監視機構として、NMD(nonesense-mediated mRNA decay)経路が存在する。この機構により、ナンセンス変異をもつmRNAは急速に分解されて、C末端側が欠失した蛋白質が生成されることはない。近年、出芽酵母において、NMD経路にトランスに機能する因子(UPF因子群)が同定され、その理解が進んだが、ナンセンス変異の存在が急速なmRNA分解をどのように引き起こすのかといった分子機構については不明であった。 申請者は先に、新規G蛋白質であるSki7の機能及びその分子機構を解析した結果、Ski7は細胞質におけるmRNA分解の基本的因子であることを見出した(EMBO J.20:4684-4693)。このG蛋白質を中心に、mRNA分解とNMD経路の関連について、酵母を用いた解析から検討を進めた結果、Ski7破壊株においてナンセンス変異を含むmRNAの蓄積が観察され、これまではNMD経路に介在しないとされていた3'→5'末端からの分解経路の寄与を明らかにした。また、この経路には、mRNA分解酵素の本体であるエキソソームとその補助因子のSki複合体、そして両複合体の共役因子であるSki7が必要であること、ナンセンス変異を含むmRNAの3'末端からの分解がUpf因子群に依存して促進していること、Ski7蛋白質とUpf因子群が相互作用し、その相互作用部位の過剰発現によりNMD経路が抑制されることを示し、Ski7とUpf因子群間の相互作用がNMD特異的な分解促進に必要であることを明らかにした(EMBO J.22:3951-395)。
|
Research Products
(3 results)