2003 Fiscal Year Annual Research Report
体系的RNAi法を利用した線虫C.elegansにおける微小管制御因子の解析
Project/Area Number |
15770115
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
茂木 文夫 独立行政法人理化学研究所, 発生ゲノミクス研究チーム, 基礎科学特別研究員 (10360653)
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Keywords | 線虫 / 微小管 / 細胞質分裂 |
Research Abstract |
微小管細胞骨格は、その構造をダイナミックに変化させることで、極性の確立および細胞分裂の制御をおこなっている。本研究では、線虫C. elegansの胚発生過程において微小管細胞骨格の動態を可視化し、その制御に関わる遺伝子群を同定することを目的としている。 先ず、線虫胚における微小管形成に必須な働きをもつ遺伝子群を探索した。RNA干渉法を用いて、γチューブリン(TBG-1)またはオーロラキナーゼ(AIR-1)を欠失させた胚では微小管形成中心(MTOC)から伸長した微小管が見られたが、両者を同時に欠失させた胚では微小管構造が観察されなかった。TBG-1とAIR-1はMTOCに局在するが、両者の局在性は相互に依存していないことが示された。以上の結果から、TBG-1とAIR-1は並列に微小管形成に寄与していると考えられる。次に、微小管制御におけるTBG-1とAIR-1の機能について解析した。野生型とTBG-1あるいはAIR-1欠失胚における微小管を継時的に観察した結果、野生株において、TBG-1とAIR-1はそれぞれ異なる時期に微小管形成に寄与している可能性が示唆された。更に、TBG-1欠失胚では微小管依存的に細胞表層の収縮が抑制されていたが、AIR-1欠失胚では微小管依存的に表層の収縮が促進されていた。以上の結果から、TBG-1とAIR-1は、微小管ダイナミクスの調節を介して細胞表層の収縮を制御することで、細胞分裂面の決定に関与している可能性が示唆された。
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