2003 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝性運動感覚性ニューロパチーの原因遺伝子NDRG1のKOマウスを用いた機能解析
Project/Area Number |
15770116
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
奥田 智彦 国立循環器病センター研究所, 病因部, 室員 (90360817)
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Keywords | CMT4D / NDRG1 / ミエリン / シュワン細胞 / 末梢神経変性疾患 |
Research Abstract |
我々は以前、細胞ストレス応答遺伝子としてNDRG1を同定した。NDRG1は、細胞の恒常性維持や分化に関与すると考えられているが、その分子機能は不明である。近年、ヒトNDRG1は、遺伝性末梢神経変性疾患の一つであるCharcot-Marie-Tooth (CMT)病4D型の責任遺伝子であると報告され、注目を集めている。本年度、本研究において我々は、Ndrg1欠損マウスの表現型を、主に末梢神経組織を対象とした組織化学的手法を用して解析した。 Ndrg1欠損マウスは、平常に出生し雄雌とも繁殖可能であったが、生後3ヶ月ごろから後肢の運動機能障害を示した。病理組織学的解析の結果、Ndrg1欠損マウス坐骨神経において、生後5週ごろから脱ミエリン化を伴う進行性の神経変性が観察された。一方、生後1〜2週間のミエリン鞘形成期においては、坐骨神経の組織像に野生型との差は見られないため、ミエリン形成能は正常に保たれていると考えられた。抗NDRG1抗体を用いた免疫組織化学的解析の結果、野生型マウス坐骨神経においてNDRG1はシュワン細胞の細胞質に局在しており、ミエリン鞘に陽性像は見られないことが明らかになった。これは他の多くのCMT病の責任遺伝子の発現パターンと異なっている。一方、中枢神経系においては、Ndrg1欠損マウスに組織学的な、異常は見いだされなかった。 以上のことから、NDRG1は、末梢神経系のミエリン鞘の構造維持に必須のタンパク質であることが示された。Ndrg1欠損マウスは末梢神経変性疾患のモデルマウスとして有用であり、NDRG1の分子機能の解明に貢献すると思われる。本研究におけるこれらの成果は、Mol.Cell.Biol.誌に受理され、掲載予定である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Tomohiko OKUDA: "Ndrg1-deficient mice exhibit progressive demyelinating disorder of peripheral nerves."Mol.Cell.Biol.. 24(9). (2004)
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[Publications] James G.Burchfield: "Akt mediates insulin-stimulated phosphorylation of Ndrg2-evidence for crosstalk with protein kinase C theta."J.Biol.Chem.. In press. (2004)
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[Publications] Tomohiko OKUDA: "Pyridoxine 5'-phosphate oxidase is a candidate gene responsible for hypertension in Dahl-S rats."Biochem.Biophys.Res.Commun.. 313. 647-653 (2004)