2003 Fiscal Year Annual Research Report
細胞分化制御因子の動物個体レベルにおける機能解析と発がんとの関係
Project/Area Number |
15770120
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山本 華子 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (00332370)
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Keywords | 細胞増殖 / 分化 / ROD1 / Rcd1 / 分裂酵母 / 異種間機能相補 / K562 / トランスジェニックマウス |
Research Abstract |
ROD1は、性分化を負に制御する分裂酵母の遺伝子nrd1+の高等動物におけるホモログであり、哺乳動物の細胞株K562の巨核球あるいは赤芽球への分化を抑制する。一方RCD1もまた、ROD1と同じ分裂酵母の分化異常温度感受性変異株から単離された遺伝子である。RCD1は特徴的なモチーフ配列を持たないにも関わらず、酵母からヒトに至る真核生物において高くアミノ酸相配列が保存されており、F9細胞を用いた実験から、分化促進能を持つことが明らかとなっている。一般に増殖と分化は互いに排他的に起こるように制御されている。従って増殖と分化制御機構の破綻が発がんの一因となることは十分に考えられる。本研究は、ROD1,RCD1という種を越えて保存されている二つの因子を解析することによって、増殖・分化のスウィッチング機構と発がんとの関連の可能性を探ることを目的としている。 既にトランスジェニックマウス2系統を作製済みのROD1については、予備検討の段階で肝臓及び膵臓に高い確率で腫瘍形成が観察された。しかしながら経時的に腫瘍形成状態を観察したことはないため、本年はその点を念頭において次世代マウスの交配と解剖を行ってきた。また上記の理由から、ROD1トランスジェニックマウスは血球分化に何らかの影響が出るものと期待されるため、同世代同週齢のマウスを揃え、血液細胞の解析を行っている所である。トランスジェニックマウス2系統の内、片方の系統ではROD1遺伝子がY染色体上に組み込まれているため、雄のトランスジェニックマウスしか得ることが出来ない。またもう片方の系統は交配・出産の確率が非常に悪く、思うようにマウスの数を揃えることが出来ないため、統計学的データを得るためには今しばらく時間が掛かるであろうと思われる。一方、Rod1,Rcd1周辺因子の単離のための分子生物学的アプローチも進めており、本年度中にTwo-hybrid解析用ベクターの構築及びライブラリの準備が完了した。これを用いて来年度以降は随時クローニングを進める予定である。
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