2004 Fiscal Year Annual Research Report
細胞分化制御因子の動物個体レベルにおける機能解析と発がんとの関係
Project/Area Number |
15770120
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山本 華子 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (00332370)
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Keywords | 分裂酵母 / patl温度感受性変異株 / 異種間機能相補 / 細胞分化 / 細胞増殖 / トランスジェニックマウス / 出芽酵母 / two-hybrid system |
Research Abstract |
ROD1は、性分化を負に制御する分裂酵母の遺伝子nrd1+の高等動物におけるホモログであり、哺乳動物の細胞株K562の巨核球あるいは赤芽球への分化を抑制する。一方RCD1もまた、ROD1と同じ分裂酵母の分化異常温度感受性変異株から単離された遺伝子である。RCD1は特徴的なモチーフ配列を持たないにも関わらず、酵母からヒトに至る真核生物において高くアミノ酸相配列が保存されており、F9細胞を用いた実験から、分化促進能を持つことが明らかとなっている。増殖と分化は互いに排他的に起こるように制御されていると考えられ、増殖と分化制御機構の破綻が発がんの一端を担う可能性は十分に高い。本研究は、ROD1,RCD1という種を越えて保存されている二つの因子を解析することによって、増殖・分化のスウィッチング機構と発がんとの関連の可能性を探ることを目的としている。 ROD1トランスジェニックマウスは予備検討の段階では、加齢に伴い肝臓及び膵臓での造腫瘍性が高頻度に示すかと思われた。これを確認すべく現在まで経時的に解剖を続けているが、残念ながらその様な傾向は無いことが明らかになってきている。また冒頭に述べた理由から、このROD1トランスジェニックマウスは血球分化に何らかの異常を示すものと期待された。同世代同週齢のマウスを揃えて血液細胞の解析を行ったが、予想に反して通常の状態では末梢血中の血球分布には異常は認められなかった。血球分化についてはもう少し踏み込んだ解析が必要であると考えており、現在は外来抗原を投与した場合の免疫応答性を検討する実験計画中である。 一方それとは別に、Rod1,Rcd1周辺因子の単離のための分子生物学的アプローチを進めている。現在までに出芽酵母のTwo-hybridシステムを用いて、Rod1,Rcd1と相互作用する候補遺伝子の単離に成功している。
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