2004 Fiscal Year Annual Research Report
ミトコンドリア蛋白質輸送に関わる細胞質因子並びに膜透過装置の解析
Project/Area Number |
15770129
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Research Institution | Nagahama Institute of Bio-Science and Technology |
Principal Investigator |
小宮 徹 長浜バイオ大学, バイオサイエンス学部, 助教授 (40304802)
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Keywords | ミトコンドリア / 膜透過 / 前駆体 / 局在化シグナル / 細胞内輸送 |
Research Abstract |
本研究の目的は、高等動物に於けるミトコンドリア蛋白質輸入の輸入反応の素過程を明らかにするため、その初期段階である、「細胞質因子によるミトコンドリア蛋白質前駆体の認識並びにミトコンドリア外膜の受容体へのターゲティング」に注目し、その分子機構を解明することである。これまでに我々は、ミトコンドリア蛋白質前駆体の輸送を担う分子をラット肝臓細胞質より精製し、「ミトコンドリア輸入促進因子(MSF)」と名付けた。前年度の研究の結果、以下の事実を明らかにした。(1)前駆体/MSF複合体を界面活性剤を用いて可溶化したミトコンドリアとインキュベートし、その後免疫共沈をおこなうと、前駆体並びにMSFは新規の外膜因子OM37と共沈したことから、これら三者は複合体を形成することが分かった。(2)意外なことに、この複合体の中には既知の外膜因子であるTom20が含まれていることがわかった。(3)この複合体はATPの共存下で解離した。(4)ATPの存在下でタイムコースを追うと、時間経過に伴って、前駆体分子がTom20/OM37の段階から、膜透過チャネルの主成分である、Tom40に移行することが分かった。今年度は、これらの成果を踏まえて、さらに実験をすすめた結果、以下のことを明らかにした。(1)前駆体/MSF複合体を、大腸菌で発現かつ精製したOM37の細胞質ドメイン(OM37CD)とインキュベートし免疫沈降を行うと、これらは共沈してくることから、これら三者は複合体を形成することが分かった。(2)(1)の複合体は、ATPの共存下で解離した。すなわち、界面活性剤を用いて可溶化したミトコンドリアで得られた結果と同様な結果が、OM37CDを用いた実験でも得られた。以上の結果から、OM37が1前駆体/MSF複合体のミトコンドリア外膜上の受容体として機能している可能性が高いと考えられる。現在、OM37のRNAiを行うための予備実験を進めており、これらの成果を論文にするために準備を行っている。
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