2004 Fiscal Year Annual Research Report
ショウジョウバエ気管形成における細胞仮足の機能および脱分化の分子機構の解析
Project/Area Number |
15770140
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐藤 純 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 助手 (30345235)
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Keywords | RNAi / スクリーニング / ショウジョウバエ / 気管 |
Research Abstract |
気管前駆細胞の細胞仮足形成、細胞移動、脱分化に関わる新規遺伝子を探索するために、組織特異的RNAi法によるスクリーニングを開始した。RNAiとは任意の遺伝子のmRNAとそれに相補的な配列を持つRNAとの二重鎖RNA(dsRNA)によって標的となるmRNAが破壊される現象であり、これを応用して任意の遺伝子の機能を簡便に調べることができる。我々は特定の組織において任意の遺伝子の機能を阻害するために、RNAiとGal4/UAS系を組み合わせた方法を用いた。Gal4は酵母由来の転写因子で、標的となるUAS配列に結合し、その下流の遺伝子の転写を活性化する。UASの下流に、標的となる遺伝子の配列とそれに相補的な配列をつなげたInverted Repeatを持つハエ(UAS-IR系統)を用意し、これを組織特異的にGal4を発現するハエを交配すると、Gal4を発現する組織において任意の遺伝子に対するdsRNAが合成され、標的となる遺伝子の機能が阻害される。様々な遺伝子に対するUAS-IR系統のハエを国立遺伝学研究所の上田龍博士から頂き、気管系特異的にGal4を発現するbtl-Gal4系統のハエと交配することにより、気管系において様々な遺伝子の機能を阻害する。気管系の細胞はGFPによってラベルされているので、蛍光顕微鏡下において気管前駆細胞の形成異常を迅速に観察できる。気管形成に関わる既知の因子に対するUAS-IRの効果を調べたところ、期待通り気管前駆細胞の形成が著しく阻害された。現在までに約500のUAS-IR系統についてスクリーニングし、気管前駆細胞の減少、過剰形成、細胞遊離、細胞移動異常、形態異常など様々な表現型が観察された。またそれらのUAS-IR系統の標的遺伝子は転写因子、細胞骨格系、キナーゼ、シグナル伝達因子、クロマチンリモデリング因子などの興味深い因子をコードしていた。
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