2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15770150
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
桝屋 啓志 独立行政法人理化学研究所, マウス変異開発研究チーム, 研究員 (40321814)
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Keywords | 形態形成 / 関節 / 骨形成 / BMP / Gdf5 / 指骨 / 四肢 / brachypodism |
Research Abstract |
化学変異原ENU誘発によって得られたマウス突然変異体M100451は、四肢の第2〜5指で指骨が欠損していることが既に確認されていた。成体において、骨格標本を作製し、四肢autopod部の骨格を詳細に観察したところ、第1指(P1)では形体はほぼ正常個体と同じであった。第2〜5指では、指骨数が一つ少なく、P1とP2の中間的な形態の指骨が観察され、また、中足/手骨と指骨の癒合が起こっていることが示唆された。 さらに、四肢の切片を観察したところ、やはり、第2〜5指における基部側の指骨は、P1とP2の中間的な形態を示していた。また、この指骨の中間部の腹側には、異所的な靭帯の結合が観察された。指骨と中足/手骨間の関節では、種子骨の数が増加していることが観察された。以上の形態的観察より、M100451における指骨欠損は、関節形成が阻害されたために起こっている可能性が示唆された。さらに指骨内で海綿骨の異常な増加が観察され、この変異体では骨形成に異常があることが示唆される。 続いて、戻し交配マウス合計97匹を用いた遺伝子マッピングにより、M100451が第2染色体D2Mit285とD2Mit343との間約1.8Mbに位置していることが明らかとなった。この場所には既知の遺伝子Gdf5が位置している。Gdf5は関節形成に深く関わっていることが知られており、M100451がこのGdf5のアリルである可能性が高いと考えられる。この場合、ヘテロで表現型を示す初めてのGdf5変異アリルであることになり、今まで知られていないタイプの変異がGdf5遺伝子に起こっている可能性がある。今後は、Gdf5遺伝子をコーディング領域中心に塩基配列比較を行う。また、既知のGdf5変異でおこるが、M100451では確認されていない四肢基部側構造の短縮の検討や、ホモ個体を作成して、表現型解析を行うことを計画している。
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