2003 Fiscal Year Annual Research Report
マウス胚の前後軸決定機構におけるWntシグナルの役割
Project/Area Number |
15770151
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
吉田 千春 独立行政法人理化学研究所, ボディプラン研究グループ, 基礎科学特別研究員 (60360666)
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Keywords | 軸決定 / マウス / Otx2 / Wnt / 制御調節 / mdkk1 |
Research Abstract |
Wntシグナルが原条形成時期の軸決定に関与しているか検討を行うために、以下のような遺伝子操作マウスを作成した。まず、ホメオボックス遺伝子であるOtx2遺伝子ホモ欠損マウス胚では、前後軸決定に異常が見られ、さらにWntシグナルの抑制活性を持つmdkk1遺伝子の発現が消失している。そこで、Otx2遺伝子座にmdkk1遺伝子を挿入した変異マウスを作成し、軸決定異常の回復がみられるか検討を行った。結果、前後軸決定は正常に行われることがわかった。また一方で、Wntシグナル(mWnt8A)を過剰に発現するマウス胚では、軸決定に異常がみられることがわかった。これらの結果から、マウス胚の前後軸決定にはWntシグナルを抑制することが重要であることがわかった。 Otx2遺伝子は、その時期・領域特異的な発現が、脊椎動物の頭部形成に極めて重要な機能を持つことが示されている。しかしながら、このようなOtx2遺伝子の発現がどのようなメカニズムによって制御されているかは明らかにされていない。そこで、ゲノムサイズの小さいことが知られているフグゲノムを用いて、Otx2遺伝子の発現調節領域の解析を行った。-30.5kbから+38.5kbのフグOtx2ゲノム領域に対して検討を行った結果、7個のエンハンサーが同定された。これらの発現は、相互に重複しないような時期・領域特異的なパターンであった。また、得られたエンハンサーをGFPに連結して、トランスジェニックゼブラフィッシュを作成して同様の発現解析を行った結果、ゼブラフィッシュにおいても、マウス胚と類似した発現が得られた。これらの結果からOtx2遺伝子の頭部神経上皮の発現調節機構は、脊椎動物の種間でよく保存されていることが示唆された。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Kimura-Yoshida C., K.Kitajima, I.Oda-Ishii, E.Tian, M.Suzuki, M.Yamamoto, T.Suzuki, M.Kobayashi, S.Aizawa, I.Matsuo.: "Characterization of the pufferfish Otx2 cis-regulators reveals evolutionarily conserved genetic mechanisms for vertebrate had specification."Development. 131. 57-71 (2004)