2003 Fiscal Year Annual Research Report
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15780001
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伊藤 純一 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (30345186)
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Keywords | イネ / 突然変異体 / 茎頂分裂組織 / SHOOT ORGANIZATION1遺伝子 / SHOOTLESS2遺伝子 / DECUSSATE遺伝子 / PLASTOCHRON1遺伝子 / in situ hybridization法 |
Research Abstract |
本年度はまずイネの茎頂分裂組織の分化と維持に重要な機能を果たしているSHOOT ORGANIZATION1とSHOOTLESS2遺伝子の発現パターンをin situ hybridization法によって解析を行った。SHO1遺伝子は分裂組織付近で発現がやや強いものの全体で発現が観察され、特異的な発現は観察されなかった。このことからSHO1遺伝子は植物体全体で機能を果たしていると考えられた。一方SHL2遺伝子においては現在シグナルを得るまでには至っていない。 茎頂分裂組織の維持と葉序の決定に重要であると考えられるDECUSSATE遺伝子について、インド稲とのF2集団を用いてラフマッピングを行った。その結果DEC遺伝子は第12染色体の約58cM付近に座乗している事が明らかとなった。またdec変異体のアリル候補であるOOT-γ-144変異体を同定した。この変異体はdec変異体と同様に栄養成長の初期に葉序が互生から対生へと転換していた。アレリズムテストの結果、アリルである可能性が高いことが判ったが、個体数が少なかったためインド稲との交配を行った。今後これらを用いてラフマッピングを行い、アリルかどうかの確認を行う。 葉の分化速度の決定に重要な役割を果たしているPLASTOCHRON1遺伝子の発現パターンをin situ hybridization法によって解析した。PLA1遺伝子は葉の基部の背軸側と茎頂分裂組織の葉原基分化予定領域に特異的に発現し、茎頂分裂組織からの葉原基の分化を抑制していると考えられた。 一方、本年度、新たにシュート形態異常を示す2つの突然変異体を同定した。これらの変異体はいずれも高頻度で茎頂分裂組織の維持ができなくなるが、表現型の解析により維管束の分化にも異常をきたすことが明らかとなった。今後は更に分子マーカーなどを用いて、詳しい表現型の解析を行う予定である。またこれらの遺伝子の単離を目的として、インド稲との交配を行い、F1種子を採取した。 またイネにおける茎頂分裂組織と葉原基分化の関係についての総説をまとめた。
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[Publications] 伊藤 純一: "イネの葉の初期発生に関与する遺伝的制御機構"PLANT MORPHOLOGY. 15. 8-17 (2003)
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[Publications] Kamiya N, Itoh JI, Morikami A, Nagato Y, Matsuoka M: "The SCARECROW gene's role in asymmetric cell divisions in rice plants."Plant Journal. 36. 45-54 (2003)
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[Publications] Miyoshi K, Ahn B, Kawakatsu T, Ito Y, Itoh JI, Nagato Y, Kurata N: "PLASTOGHRON1, a timekeeper of leaf initiation in rice, encodes cytochrome P450."Proceedings of the National Academy of Sciences USA. 101. 875-880 (2004)