2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15780002
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
佐藤 豊 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 助教授 (40345872)
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Keywords | イネ / 1g1 / OsLG1 / 葉 / 葉舌 / 葉耳 / エピジェネティックアレル / 変異体 |
Research Abstract |
本研究は植物が多様な形態をどのような仕組みで実現するのかを明らかにすることを目的とする進化生物学的な側面を持った研究である。イネ科植物の葉は大まかな構造がよく似ている。一方で、葉身・葉鞘・葉耳・葉舌といった葉の部分的な形態は多様である。そこで本研究では、栽培イネ及び野生イネを材料に葉耳・葉舌の形態の違いを支配する遺伝子の同定を第一の目的とする。次に、これらの遺伝子の構造や制御領域などをイネ及びイネ科植物の間で比較し、形態の多様性をもたらした遺伝子の進化の様式を明らかにすることが第二の目的である。 これまでにトウモロコシの葉舌発生を制御する転写因子LIgULELESS1遺伝子をイネから単離した(OsLG1)。また、イネとトウモロコシのシンテニーからOsLG1遺伝子の変異と思われるイネの無葉舌変異体(1g1)においてOsLG1遺伝子の変異を検索した。その結果、T-65系統から作出された1g1変異体ではOsLG1遺伝子の構造領域に塩基置換は見あたらなかった。さらに、プロモーター領域など発現制御に関わると思われる領域の構造を詳細に解析すると共にDNAの変化を伴わない遺伝的変異、すなわちエピジェネティックアレルである可能性も含めて解析するために、OsLG1プロモーターによりGUSレポーター遺伝子を発現する形質転換イネも作成しOsLG1遺伝子の発現様式も解析中である。 また、OsLG1以外にも葉舌形成に関わる因子を同定するために葉舌の形態に異常を持つ変異体を複数同定した。これらの一部についてはインド型イネとの交配によりF2種子を得た。本研究により、イネの葉舌形成機構の一部が明らかになっただけでなく、今後の解析につながる重要な材料を得ることができた。
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