2003 Fiscal Year Annual Research Report
エチレン感受性および非感受性花きにおける花弁脱離機構の解明
Project/Area Number |
15780032
|
Research Institution | National Agricultural Research Organization |
Principal Investigator |
棚瀬 幸司 独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構, 花き研究所・生産利用部・流通技術研究室, 研究員 (30355713)
|
Keywords | デルフィニウム / グルカナーゼ / ポリガラクツロナーゼ / 離層形成 |
Research Abstract |
花弁(がく片を含む)が脱離する花きは花弁と花床との間に離層が形成され、その後花弁が落下する。代表的な種としてバラ、デルフィニウム、チューリップ、ユリ、トレニアなどがあげられる。花弁の離層形成機構については園芸植物ではあまり調べられていない。また、ユリやチューリップなどの球根類はエチレン非感受性であり、エチレン阻害剤やエチレン生合成関連遺伝子のアンチセンス導入などによる花持ち延長効果は期待できない。そのため、離層の形成機構に関する基礎データを得る必要がある。 そこで本研究では、離層形成に最も関連のある細胞壁分解酵素遺伝子のうち、セルラーゼ(β-1,4-グルカナーゼ)とペクチナーゼ(ポリガラクツロナーゼ)遺伝子のクローニングを行った。 始めに、デルフィニウムがく片の離層から5mm以内の組織を切り取り、RNAの抽出を行った。トマト、アラビドプシス等の植物間で保存されているセルラーゼとペクチナーゼ遺伝子の配列をもとにプライマーを作成し、RT-PCRを行った。増幅されたcDNA断片はpT7 Blue T-Vectorにクローニングし、塩基配列を決定した。 クローニングしたcDNAの部分塩基配列を決定し、それぞれをBLASTを用いて推定されるアミノ酸配列を比較した。 グルカナーゼのcDNAクローンは推定されるアミノ酸がトマトのグルカナーゼと88%、アボカドのグルカナーゼと86%、モモのグルカナーゼと86%類似しており、Del-cellはβ-1,4-グルカナーゼであると考えられた。 ポリガラクツロナーゼのクローニングを行ったところ、2種類のクローン(Del-PG1とDel-PG2)を得た。これらの推定されるアミノ酸の類似性は43%であった。それぞれをBLASTで検索したところ、Del-PG1はend型のポリガラクツロナーゼと、Del-PG2はexo型のポリガラクツロナーゼと類似性が高かった。 今後はこれらの遺伝子の発現解析を行う予定である。
|
Research Products
(5 results)
-
[Publications] Hiroshi Hashizume, Koji, Tanase, Katsuhiro Shiratake, Hitoshi Mori, Shohei Yamaki: "Purification and characterization of two solble acid invertase isozymes from Japanese pear fruit."Phytochemistry. 63. 125-129 (2003)
-
[Publications] 棚瀬幸司: "遺伝子組み換えによる花きの日持ち性改良"農業技術. 58. 550-555 (2003)
-
[Publications] 棚瀬幸司, 市村一雄: "デルフィニウム小花の老化時におけるエチレンレセプター遺伝子の発現解析"園芸学会大会平成15年度秋季(園芸雑別2). 72. 544 (2003)
-
[Publications] Koji Tanase, Kazuo Ichimura: "Molecular cloning of ethylene receptor genes from Delphinium flowers"8th International Symposium Postharvest Physiology of Ornamentals. 89 (2003)
-
[Publications] Umed K.Pun, Hiroko Shimizu, Koji Tanase, Kazuo Ichimura: "Biochemical role of sucrose in the byosynthesis of ethylene in spray carnation flowers"8th International Symposium Postharvest Physiology of Ornamentals. 26 (2003)