2003 Fiscal Year Annual Research Report
ウイルス細胞間移行タンパク質発現植物での同属異種ウイルス特異的抵抗性の機構解明
Project/Area Number |
15780033
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
磯貝 雅道 岩手大学, 農学部, 助教授 (30312515)
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Keywords | リンゴクロロティックリーフスポットウイルス / ブドウえそ果ウイルス / トリコウイルス属 / 細胞間移行タンパク質 / 植物ウイルス抵抗性 |
Research Abstract |
リンゴクロロティックスポットウイルス(ACLSV)の細胞間移行タンパク質(MP)である50KPとブドウえそ果ウイルス(GINV)のMPである39KPを二種類の蛍光タンパク質(CFP, YFP)に融合し、植物細胞中でトランジェントに共発現させると、50KPと39KPは細胞内の同じ位置に局在することを明らかとし、50KPと39KP間でのインターラクションの存在を示唆した。そこで、50KPと39KP間のインターラクションを証明するため、酵母を用いたtwo-hybrid systemによる試験を行った。50KPと39KPをDNA結合ドメインおよび活性化ドメインとの融合タンパク質として発現させ解析した結果、陰性であった。しかし、酵母two-hybrid systemではタンパク質間のインターラクションを検出できない事例は多数存在する。そこでさらに、酵母細胞中で50KPと39KP間のインターラクションを解析するため、GSTと50KPの融合タンパク質(GST:50KP)と39KPを酵母細胞中で共発現させた。これは、仮に50KPと39KP間でインターラクションがある場合、グルタチオンセファロースカラムでGST:50KPを純化した場合、同時に39KPが純化されてくるという原理をもちいた。実験の結果、酵母細胞内でGSY:50KPおよび39KPの両タンパク質の発現に成功したが、両タンパク質ともに酵母細胞内で不溶化してしまいインターラクション解析には至らなかった。 酵母細胞体内では、両タンパク質ともに不溶化してしまうことが明らかとなったことから、つぎに大腸菌体内で50KPおよび39KPをそれぞれ発現させた後、純化してin vitroで混合し免疫沈降法により両タンパク質のインターラクション解析を計画した。まず、大腸菌体内で50KPおよび39KPをそれぞれ発現させたところ、両タンパク質ともに不溶化してしまいインターラクション解析に使用できない状態であった。そこで、50KPと39KPを種々の可溶化処理を試験し、NDSB-201(CALBIOCHEM)を使用した場合に、効率よく50KPと39KPを可溶化できることを明らかにした。現在、50KPと39KPのインターラクション試験を免疫沈降法で解析する条件設定、および種々の50KPディレーションクローンの作出を進めている。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] C.Li, N.Sasaki, M.Isogai, N.Yoshikawa: "Stable expression of foreign proteins in herbaceous and apple plants using Apple latent spherical virus RNA2 vector."Archives of Virology. In press. (2004)
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[Publications] M.Isogal, J.Aoyagi, M.Nakagawa, Y.Kubodera, K.Satoh, T.Katoh, M.Inamori, K.Yamashita, N.Yoshikawa: "Detection of five cherry viruses from sweet cherry trees in Japan"Journal of General Plant Pathology. accepted. (2004)
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[Publications] 磯貝雅道, 吉川伸幸: "細胞間移行タンパク質を使ってウイルスに強い植物を作る(同属別種のウイルスにのみ特異的に抵抗性を引き起こすメカニズムの謎を解く)"化学と生物. 41. 430-433 (2003)
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[Publications] 磯貝雅道, 吉川伸幸: "ウイルス細胞間移行タンパク質を発現する形質転換植物のウイルス抵抗性:作物の耐病性強化戦力と植物-病原体相互作用の分子機構研究"日本植物病理学会、植物感染整理談話会論文集(第39号). 10 (2003)