2004 Fiscal Year Annual Research Report
アワノメイガの分子生態学-2つのミトコンドリア系統は何を意味するのか?-
Project/Area Number |
15780038
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
星崎 杉彦 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (10270894)
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Keywords | アワノメイガ / ミトコンドリアDNA |
Research Abstract |
北海道(亀田郡),松戸,西合志,盛岡,杷木より得られたアワノメイガ個体について,リボソームRNA遺伝子のInternal Transcribed Spacer(ITS)領域をPCR増幅し,プラスミドベクターにクローン化した.北海道(亀田郡),松戸,西合志からは系統AのミトコンドリアDNAを持つ個体と系統BのミトコンドリアDNAを持つ個体の双方を用意し,盛岡,杷木からは系統AのミトコンドリアDNAを持つ個体を用意した.個体あたり2クローンを得た.得られた塩基配列には長さの変異(274-282bp)が認められた.塩基配列の多型には塩基置換と挿入/欠失の二通りが認められ,そのいずれについても個体内・個体間の双方での多型が認められた.塩基置換多型に関しては,10個の塩基配列タイプが認められた.挿入/欠失多型は4箇所に認められ,うち1箇所では興味深いことにマイクロサテライト様の反復配列(ATTの反復)となっていた.塩基置換多型について,TCS法を用いて配列間の系統関係を推定したところ,系統AのミトコンドリアDNAを持つ個体グループと系統BのミトコンドリアDNAを持つ個体グループは単系統群とならなかった.また,マイクロサテライト様の多型については,系統AのミトコンドリアDNAを持つ個体グループと系統BのミトコンドリアDNAを持つ個体グループはATTの繰り返し回数において明瞭に異なってはいなかった.これらの結果は,ミトコンドリアDNAだけでなく核DNAにも2つの系統が存在するという仮説を支持しない.
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