2004 Fiscal Year Annual Research Report
原始的な花粉媒介システムの解明とその応用に関する研究
Project/Area Number |
15780039
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
塚田 森生 三重大学, 生物資源学部, 助手 (20273352)
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Keywords | 花粉媒介 / バンレイシ科 / チェリモヤ / アテモヤ / 甲虫 / ケシキスイ / 果樹 / 群集 |
Research Abstract |
被子植物の中で比較的原始的な分類群に属する果樹アテモヤを主に用い、訪花昆虫相と果実食昆虫相の比較を野外にて行うと共に、モンチビヒラタケシキスイおよびクリイロデオキスイの花粉媒介能力を実験的に推定した。 野外比較調査は三重県御浜町および沖縄県名護市で栽培されているアテモヤを対象として行ったが、沖縄県恩納村でも訪花者の調査を行った。これらの場所での優占的な訪花者は、御浜では2種のハネカクシ、名護ではキイロチビヒラタケシキスイであった。恩納ではキイロチビヒラタケシキスイの他様々な甲虫が得られた。果実食昆虫は訪花者より多様な群集構成を示し、モンチビヒラタケシキスイ、クリイロデオキスイなどが果実で多く見られる一方で花では少なかった。しかし、2種のハネカクシャキイロチビヒラタケシキスイは果実食昆虫群集でも多く見られ、アテモヤの訪花者はその地域の果実食者群集の部分集合的存在であることが解明された。 御浜において計169の花に網掛け処理を施し、甲虫を閉じこめて花粉媒介能力を確認しようとしたが、種子数を数えられるまで十分に果実が肥大したものはわずかに17で、しかもそのうちの7が人工受粉区であり、種子数に関しては得られたデータを解析に供することが出来なかった。 網掛け後の甲虫の生存率はクリイロデオキスイで極めて高く、モンチビヒラタケシキスイに勝っていた。もっとも、回収時に花粉の付着した個体が一頭でもいた割合には2種の間で有意な違いはなかった。ただし、虫の密度が高い方が花粉の付着している個体が見つかる可能性が高かったので、高密度で放飼することで死亡率の高さを補うことは可能かもしれない。 花粉発芽率を御浜で調べたところ、ビニールハウス内と恒温室でほぼ同じで、6月下旬に最大値を示した。とはいえ、それでも25%ほどで、十分な発芽率とは言えないように思われる。名護では花粉が発芽しなかった。
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Research Products
(2 results)