2005 Fiscal Year Annual Research Report
高分子物質の結合と分解に関わるタンパク質・酵素の機能を規定する動的高次構造の解析
Project/Area Number |
15780053
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
橋本 渉 京都大学, 農学研究科, 助教授 (30273519)
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Keywords | Bacillus / キサンタンリアーゼ / X線結晶構造解析 / 多糖リアーゼファミリー / ヒアルロン酸リアーゼ / コンドロイチンリアーゼ / 反応機構 / 動的構造 |
Research Abstract |
高分子物質(キサンタン)の分解に関わるBacillus属細菌(GL1株)由来キサンタンリアーゼ(XLY)の構造機能解析を行い、以下のことを明らかにしてきた。XLYは、一次構造に基づいて多糖リアーゼファミリーPL-8に分類される。XLYのX線結晶構造(α5/α5バレル+逆並行βシート)を決定し、XLYが同じPL-8酵素の連鎖球菌ヒアルロン酸リアーゼ(HLY)やコンドロイチンリアーゼ(CLY)と同様の基本骨格を示すことを明らかにした。また、XLY、CLY、及びHLYの活性部位付近の微細な構造が極めて類似していることも見出し、XLYの触媒反応に関わる分子機構を解析することにより、PL-8酵素に共通の触媒反応機構を提示できると考えられた。 XLY,HLY,CLYに共通する高次構造に基づき、触媒に直接関与すると考えられたXLYのN194、H246、Y255の部位特異的変異体を作製し、各変異体の酵素学的性質を調べた。N194A、H246A、Y255Fはいずれも野生型に比して活性が1/500以下に低下したことから、これらの3残基がXLYの活性発現に重要であることが示された。このことはPL-8酵素には共通の触媒反応機構があることを支持する結果である。活性低下型変異体であるN194Aのリガンド非結合型、生成物(ピルビン酸マンノース)結合型、及び基質[キサンタン構成最小ユニット(5糖)]結合型の結晶構造を、それぞれ、2.3、1.8、及び2.1Å分解能で決定した。得られた高次構造に基づき、Y255が酸触媒・塩基触媒として機能する触媒反応機構を提唱した。XLYの触媒反応機構は、これまでHLYの構造に基づいて提唱されていたものとは異なり、むしろCLYにおいて提唱されたものと類似していた。PL-8酵素における共通の高次構造や触媒残基の知見から、XLY及びCLYに見られる触媒反応機構がPL-8酵素に共通するものであることが強く示唆された。また、リガンド結合によりα5/α5バレルドメインの動的構造変化が認められたことから、今後触媒反応におけるドメインの動的機構を明らかにする。
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Research Products
(6 results)