微生物酵素によるL-リジンから高付加価値物質の生産

2004 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 15780055
• Research Institution: Kobe University
• Principal Investigator: 竹中 慎治 神戸大学, 農学部, 助手 (40314512)
• Keywords: L-リジン塩酸塩 / L-リジン脱アミノ酵素 / Δ^<1->ピペリデイン6-カルボン酸

Research Abstract

本研究では、『微生物酵素によるL-リジンから高付加価値のある含窒素複素環化合物の大量合成法の開発』を目的とする。平成16年度は、「土壌より分離したL-リジン脱アミノ酵素生産菌より2位または6位のアミノ基を特異的に脱アミノする酵素生産菌の選抜と脱アミノ酵素系の解析」とし研究を進めた。
平成15年度までに土壌より分離したL-リジン脱アミノ酵素生産菌(350株)について脱アミノ酵素系の解析を進めて、目的にかなう酵素系を生産すると思われる8株を選抜した。より高い脱アミノ酵素活性を示す酵素生産菌を選抜することを目的として引き続き土壌からより目的にかなう菌株の分離を行なった。新たに170株をGL培地(炭素源として0.5%(w/v) D-グルコース、窒素源として0.23%(w/v) L-リジン塩酸塩を含む培地(pH6.8))にて分離した。これらの分離菌もまたL-リジンを唯一の窒素源とするGL培地で良好に生育したことから、脱アミノ酵素生産菌といえる。分離株(170株)の脱アミノ酵素を解析するためにそれぞれGL液体培地にて培養した。さらに、得られた菌体の無細胞抽出液中のL-リジン脱アミノ酵素活性を測定し、NADHおよびアミノ基受容体を酵素反応に必要としないL-リジン脱アミノ酵素生産株の選抜を試みた。L-リジンの2位または6位のアミノ基が特異的に脱アミノされるとピペリデインカルボン酸が蓄積する。同酵素反応生産物をo-アミノベンズアルデヒドを用いた比色法により測定し、その蓄積量を定量した。現在、酵素活性を示す菌株15株を得た。そのうちの1株(strain No.70)から調製した無細胞抽出液は、非常に高い脱アミノ酵素活性(0.17 U/mg)を示した。現在、酵素生産のための培養条件の検討および本酵素の分画・精製条件の検討を行なっている。