2004 Fiscal Year Annual Research Report
繰り返し構造を有するStarch-binding domainの構造と機能
Project/Area Number |
15780060
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
炭谷 順一 大阪府立大学, 農学生命科学研究科, 講師 (10264813)
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Keywords | Amylase / Starch-binding domain / Glucoamylase / Carbohydrate-binding module / N-Glycosylation |
Research Abstract |
1.B.polymyxa由来β/α-アミラーゼの繰り返し配列の機能解析 Bacillus polymyxaのβ/α-アミラーゼは中央の約100アミノ酸からなるCBM25に分類されるデンプン結合領域(SBD)を2つ挟む形でN末端側にβ-アミラーゼ,C末端側にα-アミラーゼが連なった前駆体として合成される.この前駆体は菌体外へ分泌された後,SBDの前後でプロセッシングされ,β-アミラーゼとα-アミラーゼに分割される.これまでにこのSBDがN末端側のβ-アミラーゼに与える影響は明らかになっている.今回は,中央の繰り返し配列がC末端側に存在するα-アミラーゼに与える影響について検討した.ネイティブ状態に近い構造となるようにα-アミラーゼのN末端側にSBDを0,1,または2つ付加し,さらにそのN末端側にチオレドキシン(Trx)タグを付加した融合タンパクをそれぞれ作製したところ,活性のあるα-アミラーゼを発現させることに成功した.3種類の発現産物の精製およびTrxタグの除去を行い,各酵素の性質について検討したところ,α-アミラーゼにおいて本繰り返し配列は可溶性デンプンに対する酵素化学的な性質にほとんど影響を与えなかったが,繰り返し配列の数に依存して生デンプンに対する吸着性および分解活性は上昇した。以上のことから,本繰り返し配列がSBDとして機能することが明らかとなった. 2.デンプン結合頒域(SBD)に付加された糖鎖がSBDの機能に与える影響 Bacillus sp.no.195株由来α-アミラーゼ(BAA)はC末端側にCBM25に分類されるデンプン結合領域(SBD)を持つ。生デンプン分解能が低いと言われているタカアミラーゼA(TAA)に本SBDを付加したところ、TAAは明確な生デンプン分解活性を示したが,獲得した生デンプン分解活性は予想された値より低かった.その原因として、原核生物由来の本SBDを真核生物で発現させたために、本来存在しない糖鎖が付加され、デンプンへの結合に影響を与えたことが示唆された。今回、糖鎖がSBDの機能にどの程度影響しているかについて調べた。アミノ酸配列からSBDのN結合型糖鎖付加部位が3カ所予想されたので,それぞれについてPCRを用いて変異を入れることで糖鎖付加部位を明らかにするとともに、糖鎖が付加しないSBDを作製し、TAAのC末端に結合させるように遺伝子を設計した。これを糸状菌用高発現ベクターpNAN8142を用いたAspergillus oryzaeの系で発現させた.発現産物を精製し,生デンプン分解能について検討した結果,N型糖鎖はC末側の連続した結合部位のどちらかに結合していることがわかり,その影響で結合力が若干減少していることが明らかとなった.
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