2003 Fiscal Year Annual Research Report
イネいもち病菌をモデルとして用いた糸状菌細胞内圧力発生に至る情報伝達系の解析
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15780063
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
本山 高幸 独立行政法人理化学研究所, 環境分子生物学研究室, 研究員 (70291094)
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Keywords | イネいもち病菌 / ヒスチジンキナーゼ情報伝達系 / 高浸透圧応答 / 病原性 / 適合溶質 / メラニン合成 / 細胞壁合成 / 農薬作用点 |
Research Abstract |
本年度は、イネいもち病菌のOs-1ホモログ(Hik1)の高浸透圧応答や病原性への関与を解析した。また、HIK1遺伝子を出芽酵母に導入することにより農薬の作用点の解析を行った。 HIK1遺伝子破壊株(Δhik1)は高濃度の糖には感受性になるが、高濃度の塩への感受性は野生型と変わらないという特徴を持つ。このような溶質の識別メカニズムを詳細に解析するためにガスクロマトグラフ質量分析装置を用いて解析したところ、高濃度の糖で処理した場合のみ野生株と比較して、適合溶質の一つのグリセロール蓄積レベルの低下が認められ、この低下が糖感受性の原因であることが示唆された。Os-1ホモログが高濃度の糖処理した場合のグリセロール蓄積による細胞内圧力発生に何らかの関与をしていることが示唆される。 フルジオキソニルをはじめとする多くの糸状菌特異的農薬のターゲットがOs-1ホモログを介した情報伝達系であることが明らかになりつつある。Os-1ホモログは出芽酵母には存在しないが、Os-1ホモログの情報伝達系の下流因子は出芽酵母でも多くが共通している。そこで、Hik1を出芽酵母で発現させることにより、糸状菌特異的農薬への感受性が付与できるかどうかを解析した。Hik1を出芽酵母で発現させたところ、本来感受性を示さない糸状菌特異的農薬(フルジオキソニル、イプロジオン、クロロネブ等)に感受性を示すようになった。hog1変異株でこの感受性がなくなること、Hik1とYpd1の間で相互作用が認められることなどから、Hik1は酵母のヒスチジンキナーゼSln1からYpd1-Ssk1-Ssk2/Ssk22-Pbs2-Hog1へと続く情報伝達系を攪乱して糸状菌特異的農薬への感受性を付与していること、Hik1が直接の薬剤のターゲットであることが示唆された。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Yamada, N., Motoyama, T., Nakasako, M., Kagabu, S., Kudo, T., Yamaguchi, I.: "Enzymatic characterization of scytalone dehydratase Val75Met variant found in melanin biosynthesis dehydratase inhibitor (MBI-D) resistant strains of the rice blast fungus"Biosci.Biotechnol.Biochem.. (in press). (2004)
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[Publications] Fujimura, M., Ochiai, N., Oshima, M., Motoyama, T., Ichiishi, A., Usami, R., Horikoshi, K., Yamaguchi, I.: "Putative homologs of SSK22 MAPKK kinase and PBS2 MAPK kinase of Saccharomyces cerevisiae encoded by os-4 and os-5 genes for osmotic sensitivity and fungicide resistance in Neurospora crassa"Biosci.Biotechnol.Biochem.. 67. 186-191 (2003)