2003 Fiscal Year Annual Research Report
加圧による酵母アミノ酸輸送体のユビキチン化と圧力シグナル伝達機構の解明
Project/Area Number |
15780065
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
阿部 文快 独立行政法人海洋研究開発機構, 極限環境生物フロンティア研究システム, グループリーダー (30360746)
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Keywords | 出芽酵母S.cerevisiae / 高圧増殖変異 / トリプトファン輸送体Tat2 / ユビキチン化 / ユビキチンリガーゼRsp5 / 圧力生理学 |
Research Abstract |
出芽酵母Saccharomyces cerevisiaeを15〜25MPaで圧力培養すると細胞周期がG1期で停止する。この現象はトリプトファン要求株に特徴的に認められ、トリプトファン輸送体遺伝子TAT2を高発現させると細胞は高圧下で増殖する。既に私は高圧増殖変異(High-pressure growth)株を多数得ており、その原因遺伝子の一つ、HPG1がRsp5ユビキチンリガーゼの準優性変異であることを示している。すなわちTat2がRsp5の基質になっていて、HPG1変異の結果、Tat2はユビキチン化をまぬがれて安定化し、このことが高圧増殖の直接要因であること報告した。そこで本研究では、次なる遺伝子HPG2のクローニングを行った。驚いたことに、HPG2変異はTat2そのものに生じており、3つの変異アレルはTat2のN未端(Tat2^<Glu27Phe>)とC末端(Tat2^<Asp563Asn>, Tat2^<Glu570Lys>)に見つかった。これらの場合もやはり変異型Tat2はユビキチン化を受けにくくなり、高圧下で安定化していた。一方、Tat2の細胞内局在を調べたところ、野生型Tat2はゴルジ体やprevacuolar compartmentなど内膜系により多く存在していた。ところが変異型Tat2(すなわちHpg2)は細胞膜上に多く見いだされた。25MPaで圧力培養すると、野生型Tat2が速やかに細胞膜フラクションから消失するのに対し、Hpg2は安定に維持されていた。以上の結果はGlu27、Asp563およびGlu570残基が高圧下におけるTat2タンパク質のユビキチン化やエンドサートシスに重要な役割を果たしていることを示唆している。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 永山あい, 加藤千明, 阿部文快: "The N- and C- terminal mutations in tryptophan permease Tat2 confer cell growth in Saccharomuces cerevisiae under high-pressuer and low-temperature condition"Extremophiles. 8(2). 143-149 (2004)
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[Publications] 阿部文快: ""圧力生理学"から見えてきた細胞機能と動態"日本農芸化学会誌. 78(4)(未定). (2004)